2023年10月中旬〜下旬
スギ防風林の林床で夜な夜な餌を探し回る野ネズミ(ノネズミ)の巣穴が意外な場所に見つかりました。
落ち葉を寄せ集める謎の行動が繰り返し見られました。
これまで私が撮ってきた野ネズミの動画の中でも、これはかなり重要な発見です。
シーン0:10/20・午後14:45(@0:00〜)
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。
画面の左上隅に朽ち果てた切株があります。
この切株の周囲には、野ネズミが食べた後のオニグルミの殻がたくさん散乱していました。(食痕つき)
その手前の溝に古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されています。
これを目印として、ニホンアナグマ(Meles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあり、黒い下痢便が溜まっています。
杉防風林の林床にはスギの落ち葉が堆積しているだけでなく、広葉樹の落ち葉も散乱していることを覚えておいてください。
シーン1:10/20・午後18:21・小雨(@0:04〜)
小雨がぱらつく晩に画面の中央に野ネズミが居座っています。
スギ林床のこの位置に野ネズミの巣穴の入口(巣口)があることが後に判明します。
採食中なのか、毛繕いしているのか、よく分かりません。
やがて右に立ち去りました。
シーン2:10/20・午後21:54(@0:18〜)
スギ林床をうろちょろしています。
シーン3:10/20・午後22:15(@0:49〜)
画面中央で野ネズミが広葉樹の落ち葉を咥えて横にどけました。
周囲の落ち葉(スギ以外の広葉樹)を何枚か1箇所に拾い集めていたのに、なぜかその場に放置したまま右へ立ち去りました。
冬越し用の巣材(寝床)を吟味しているのでしょうか?
当地は雪国(東北地方日本海側の多雪地帯)ですから、長い冬越しに備えて巣材集め行動の衝動が高まりつつあるのかもしれません。
関連記事(1年前の撮影)▶
別な可能性として、落ち葉で巣口を隠す(カモフラージュ、隠蔽)行動かもしれない、と思いつきました。
シーン4:10/21・午前4:06(@1:34〜)
日付が変わった未明に現れた野ネズミが、約6時間前に拾い集めた広葉樹の落ち葉をめくり、その下のスギ落葉層に潜り込みました。
どうやら巣口があるようです。
シーン5:10/21・午後23:29(@1:51〜)
どうやら出巣の瞬間を撮り損ねたらしく、右へ走り去る野ネズミが写っただけでした。
シーン6:10/22・午前4:26(@1:56〜)
野ネズミがスギ林床の巣口にスルリと入る様子がしっかり撮れていました。
シーン7:10/22・午後18:04(@2:03〜)
出巣直後と思われる野ネズミが右に向かいました。
シーン8:10/22・午後18:31(@2:11〜)
広葉樹の落ち葉で隠蔽された巣口から野ネズミが外に出てくる決定的瞬間が遂に撮れていました。
左へ少し走ると、手押し車のフレーム直下の穴にすぐ潜り込みました。
スギ落葉層の下に一時的に隠れたり、近道するための穴があちこちに開いていることが分かってきました。
アナグマの溜め糞stmpを右に飛び越えると、朽ちた切株の右下をうろついています。
シーン9:10/22・午後18:40(@2:37〜)
錆びたフレーム直下の穴から顔を出していた野ネズミが、すぐに引っ込んでしまいました。
スギ落葉層の下を右往左往してから外に出て、右に走り去りました。
シーン10:10/22・午後18:48(@2:58〜)
落ち葉で隠蔽した巣口に戻って確認してから、右に向かいました。
シーン11:10/22・午後18:55(@3:29〜)
画面中央から、フレーム直下の穴に潜り込むと、スギ落ち葉の下を右往左往。
アナグマの溜め糞stmpをチェックしてから、その上を渡って朽ちた切株へ向かいました。
シーン12:10/22・午後18:59(@4:23〜)
右から来た野ネズミがアナグマ専用の溜め糞場stmpの横を通って切株へ向かいました。
シーン13:10/23・午前0:19(@4:51〜)
日付が変わった深夜、右から来た野ネズミが林床で計3枚の落ち葉(落葉樹)を1枚ずつ口に咥えて少し移動させました。
やはり巣口の位置を隠蔽するカモフラージュ行動のようです。
断熱用の巣材(寝床)として落ち葉を巣穴の中に運び込む巣材集めの行動とは明らかに違います。
隠した巣口には入らず、左へ移動するとスギ落葉層の下に潜り込んで左下に向かいました。
シーン14:10/23・午前3:00(@5:25〜)
手押し車の錆びたフレームの陰、アナグマの溜め糞stmpの縁に野ネズミが来ていました。
右下エリアをウロチョロしてから、落ち葉で隠蔽した巣口に入りました(入巣)。
シーン15:10/23・午後18:57(@5:49〜)
スギ林床をうろついてからフレーム直下の穴に潜り込みました。
スギ落ち葉の下から野ネズミの白い目が光って見えます。
シーン16:10/23・午後18:59(@6:24〜)
林床を横切って右へ立ち去りました。
シーン17:10/23・午後19:01(@6:34〜)
右から来た野ネズミが左下へ向かいました。
シーン18:10/23・午後21:49(@7:15〜)
落ち葉で隠蔽された巣口に入り、しばらくすると同じ場所から出巣しました。
右へ立ち去りました。
シーン19:10/23・午後23:46(@7:34〜)
慌てたように入巣しました。
シーン20:10/24・午後17:44(@7:42〜)
翌日の日没後に野ネズミが探餌徘徊を始めました。
アナグマの溜め糞stmpを回り込んで朽ちた切株に向かうと、その切株を登り降りしてから左へ。
シーン21:10/24・午後20:43(@8:19〜)
左下手前のスギ落葉層の下から野ネズミの白く光る眼がちらっと見えました。
錆びたフレーム直下の穴から外に出てきて右へ。
シーン22:10/24・午後20:58(@8:49〜)
画面の上端から手前へ向かって野ネズミがうろちょろしています。
右へ。
シーン23:10/25・午前0:35(@9:21〜)
手押し車の錆びたフレームから朽ちた切株へ向かいました。
シーン24:10/25・午後18:23(@9:30〜)
手押し車の錆びたフレームが突き刺さっているスギ落ち葉の穴から野ネズミが現れ、右へ向かいました。
落ち葉で隠蔽された巣口に潜り込むと、しばらくして同じ巣口から外に出て来ました。
素早く右へチョロチョロと走り去りました。
シーン25:10/25・午後21:28(@9:56〜)
左下エリアをウロチョロ。
シーン26:10/26・午後17:36(@10:07〜)日の入り時刻は午後16:51。
探餌徘徊で右へ。
シーン27:10/27・午前0:03(@10:22〜)
左下のスギ落葉層の下を潜って朽ちた切株に向かいました。
今回もアナグマの溜め糞stmpには近寄りませんでした。
【考察】
アナグマが溜め糞場stmpに通って排泄する様子を記録しようとトレイルカメラを設置したのに、夜行性の野ネズミが毎晩活発に探餌徘徊するせいでカメラの電池がすぐに消耗してしまいます。
そんな野ネズミを初めは疎ましく思っていたのですが、撮れた動画をじっくり見直すと、なかなか面白い行動をしていました。
野ネズミはスギ林床を夜な夜な徘徊して餌を探し回っています。
野ネズミが好きな木の実などがスギ林床に落ちているとは思えないので、落ち葉の下に隠れている虫やクモなどを捕食していると思われます。
しかし、野ネズミはアナグマ専用の溜め糞stmpにはほとんど興味を示しませんでした。
アナグマは主にミミズを捕食するらしいので、タヌキとは違って溜め糞には未消化の種子が含まれておらず、野ネズミにとって食料にならないのでしょう。
溜め糞場に集まる食糞性の昆虫などを野ネズミが捕食しても良さそうなものですけど、そのような捕食行動はこの時期に撮れていませんでした。
野ネズミの巣穴の入口を新たに発見できたのはたまたまです。
落葉樹の落ち葉をときどき拾い集めて巣口の上にかぶせて隠蔽する行動を何度かしていました。
この森周辺には野ネズミの天敵であるホンドテンやニホンイタチ、ホンドギツネ、フクロウなどが棲息することが分かっています。
野ネズミの賢さをまたひとつ知ることが出来て感動しました。
ただし、巣口周辺に野ネズミが落ち葉を拾い集めるのはカモフラージュのためとは限らず、暗闇で巣口の位置を示す目印なのかもしれません。
これを解明するためには、巣口の上にかぶせた落葉樹の落ち葉をすべて取り除いたり、横に少しずらして置いてみたりして、野ネズミの帰巣行動にどんな影響を及ぼすか観察すれば分かるはずです。
今回トレイルカメラで見つけた巣穴を根雪が積もる前に発掘調査してみたいものです。
落ち葉をめくってみれば巣口が見つかるはずです。
しかし私が現場をズカズカと歩き回ったせいで、巣口の場所が分からなくなってしまいました。
トレイルカメラによる撮影は病みつきになるほど楽しいのですが、たくさん撮れた動画の確認が追いつかなくなり大変です。
ようやくこの動画を見たときには時すでに遅く、発掘調査の時期を逸してしまいました。
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