2023年7月中旬・午前11:30頃・くもり
里山の山腹をトラバースする林道の脇でヒメスズメバチ(Vespa ducalis pulchra)のワーカー♀が探餌飛翔していました。
本種はアシナガバチの巣を襲ってその幼虫や蛹を専門に狩るスペシャリストです。
つまり、狩りモードのヒメスズメバチ♀はアシナガバチの巣を探しているのです。
スギ老木の根元をホバリングで飛び回り、林床に下草として生えたチヂミザサの葉に着陸すると、枯れたスギ落ち葉の下に潜り込んだりしています。
私が動画を撮りながら少し近づくと、ヒメスズメバチ♀はスギ幹の根元付近に取り付きました。
樹皮を齧り取って巣材集めをするのかと思いきや、剥がれかけた樹皮の裏側へ潜り込みました。
しばらくするとまた外に出てきました。
このとき獲物の肉団子を咥えてなかったので、樹皮の裏側にアシナガバチの巣はなかったようです。
そもそも私の経験上、樹皮の裏側の隙間になんかアシナガバチは営巣しそうにありません。
スギ老木への興味関心を失った蜂は、探餌飛翔に戻りました。
ヒメスズメバチ♀の探餌飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:05〜)
スギ林内を低空でジグザグに飛び去りました。
実は、まさにこのスギ大木のめくれかけた樹皮の裏側にカマドウマの大群が潜んでいたことがあります。
もしもヒメスズメバチ♀がカマドウマを狩りにせっせと通っていたら大発見です。
関連記事(2年前の撮影)▶ スギの樹皮の裏側に群生するマダラカマドウマ
今思えば、剥がれかけた樹皮の裏側にヒメスズメバチが営巣していた可能性もありそうです。
高見澤今朝雄『日本の真社会性ハチ』という図鑑を紐解いてみると、
ヒメスズメバチの営巣場所は、土中の空洞、樹洞、家屋の屋根裏、壁間など(p109より引用)
動画撮影後にスギ樹皮をめくって、しっかり確かめるべきでした。
関連記事(6、10年前の撮影)▶
【追記】
探餌行動とは限らず、創設女王が営巣地候補を探索していたのかもしれません。
剥がれかけた樹皮の裏側に樹洞があるのかと期待して潜り込んだとすれば、辻褄が合いそうです。
ヒメスズメバチは獲物となるアシナガバチの生活史と合わせるために、自らの営巣は他のスズメバチ類よりもかなり遅れて始めます。
しかし撮影した7月中旬にヒメスズメバチの創設女王が営巣地を探索しているのは、いくらなんでも遅すぎる気がします。
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