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2024/01/29

大量の落ち葉を掻き集めて引っ越し先の巣穴に運び入れるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣材集めを繰り返す様子をまとめてみました。  


シーン1:6/1・午後23:09・(@0:00〜) 
幼獣を手前の巣穴Lに運んでから(R➔L)1時間40分後。 
夜更けに手前の巣穴Lから外に出てきた♀が、アクセストレンチから離れて左へ向かいました。 
しばらくすると、♀が左からピョンピョン跳ぶように後退りしながら戻って来ました。 
林床の落ち葉を前脚で大量に掻き集めて来たのです。 
落ち葉を両腕いっぱいに抱えたまま、後ろ向きで巣材を巣穴Lに搬入しました。 


シーン2:6/4・午後18:18・(@0:33〜)日の入り時刻は午後19:00。 
3日後の夕方に自動センサーカメラが起動すると、♀(?)が巣材を奥の巣穴Rへ運ぶ途中でした。 
両腕に大量の落ち葉を抱えたまま、立ち止まって地面に鼻面を突っ込んでいます。 
何か虫(獲物?)を見つけてしまったようです。 
気が散ったアナグマは、その場に座り込んで毛繕いを始めました。 

ようやく巣材運びを再開。 
今回は興味深いことに、巣材(寝床、敷き藁)の落ち葉を巣内には持ち込まずに巣口Rに雑に置いただけでした。 

そのまま奥の広場に座り込むと、体の痒い部位をボリボリ掻いたり仰向けで毛繕いしたりし始めました。(5倍速の早回し) 
大股開きになった股間に陰茎は見えませんでした。 
下腹に見えた突起は乳首なのかな? 


シーン3:6/6・午前3:58・(@1:16〜) 
2日後の未明。 
幼獣を奥の巣穴Rに運んでから(L➔R)2時間15分後に、♀が画面の右下(巣口Lの横)で落ち葉を前足で掻き集めていました。 
監視カメラの電池が消耗していて断片的な映像ですが、後退しながら巣材と一緒に奥の巣穴Rに入りました。 


シーン4:6/6・午後19:39・(@1:28〜) 
同じ日の晩。 幼獣を手前の巣穴Lに運んでから(R➔L)13分後。 
♀が落ち葉を集めて巣穴Lへ搬入しました。 
巣口Lのアクセストレンチには細長い落枝が数本放置されていて、それに落ち葉が引っかかり、搬入作業の邪魔になっています。 


シーン5:6/6・午後19:42・(@1:43〜) 
次の巣材集めから後ろ向きで戻って来た♀が、落ち葉を手前の巣穴に運び入れました。


シーン6:6/7・午前1:31・(@2:04〜) 
日付が変わった深夜に、今度は奥の巣穴Rへ巣材を搬入しました。 
 幼獣を奥の巣穴Rに運んでから(L➔R)1時間35分後のことでした。 


シーン7:6/9・午後18:14・(@2:09〜)日の入り時刻は午後19:03。 
2日後の夕方。 
昼間に寝た後の寝起き状態の♀?が、営巣地(セット)をうろついたり、地面に座って体を掻いたりしています。
やがて手前の巣穴Lに入りました。 

しばらくすると再び出巣Lした♀が、アクセストレンチの上端で身震いしてから左に立ち去りました。 
後ろ向きで集めてきた落ち葉を巣穴Lに搬入。 


シーン8:6/9・午後18:16・(@2:47〜)
出巣Lした♀が左上奥の林内に向かいました。 
しばらくすると、いつものように後退しながら落ち葉を運んできたものの、量が全然足りないので、落ち葉を求めて今度は左へ向かいました。 
アナグマの営巣地周辺(セット)の地面には落ち葉がきれいさっぱり無くなっているので、逆にそれが目印(フィールドサイン)になるかもしれません。
(落ち葉が無くなれば、生葉を集めてくることもあります。)
巣材が大量に得られない環境には営巣できないことになります。
引越し祝いで稲藁などを与えてやれば、アナグマ♀は嬉々として巣内に運び入れ、巣材として使ってくれるでしょう。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】 
アナグマ♀は幼獣を引っ越した先の巣穴に必ず新しい巣材を補充することが分かりました。 
この行動パターンはよく理解できます。
ただし、引越し先に予め新しい巣材を用意しておくことはないようです。
幼獣引っ越しのシーン(前回の記事)と巣材搬入のシーン(今回の記事)を別の動画に切り分けたのですが、単純に時系列順にお見せした方が分かりやすかったかもしれません。 
しかし実は、幼獣引っ越しと巣材搬入の間に長々と別な行動(毛繕いや徘徊など)が挟まることが多いのです。 

アナグマは二次林で林床の落ち葉を大量に掻き集めて地中に搬入し、腐葉土を作る役割を果たしている、と言えそうです。 
使い古した巣材をときどき巣外に搬出することがあります。 
落ち葉の分解や発酵を促進しているとしたら、カブトムシなど腐葉土に産卵する虫がアナグマの巣穴に来たりしないのでしょうか?
巣材の腐葉土を餌にしてカブトムシの幼虫が育ったら、それをアナグマが捕食するかもしれません。 

落ち葉と言えば秋の印象ですから、初夏の林内に落ち葉が残っているのか?と疑問に思うかもしれません。 
春から初夏にかけて若葉があっという間に成長して林冠をびっしり埋め尽くすと、日光が林床まで届く前に遮られて昼間でも林内は薄暗くなります。 
そうなると林の上層部(林冠)より下の枝から生えた若葉は日照不足となり、競争に負けた木は黄変した葉を惜しげもなく落としてしまいます。 
実際、この時期に撮れたトレイルカメラの映像に、落ち葉がはらりと舞い散る様子がたまに写っていることがあります。 

巣口Lのアクセストレンチには細長い落枝が数本放置されていて、苦労して運んできた落ち葉がそれに引っかかり、搬入作業の邪魔になっています。 
我々の感覚だと、邪魔な落枝を玄関から早く取り除けば良いのに…と思うのですが、横着者のアナグマは放置したままです。 
もしかすると、この落枝には防犯の意味があるのかもしれません。 
侵入者が巣口に近づくと落枝を踏んでしまい、その物音で巣内のアナグマに知らせる警報装置になっているのではないか?と思いつきました。 


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