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2023/09/08

残雪が溶ける早春に中州横の溜め糞場に通うホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬〜中旬 

川沿い(中州横)の雪原に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wnをトレイルカメラで監視しています。 
残雪が溶ける前後の記録をまとめました。 
この時期は単独個体ばかりが写りました。

シーン1:3/3・午後20:30・(@0:00〜) 
私が現場入りしてカメラの電池を交換したその日の晩に早速タヌキが現れました。 
夜霧が立ち込めています。 
川のすぐ横なので湿度が高く、霧がよく発生するのです。 
私が歩き回った雪面の匂いを嗅いだだけで、左下に立ち去りました。 


シーン2:3/4・午前3:40・(@0:14〜) 
7時間10分後、日付が変わった深夜にタヌキが再登場。 
今回も溜め糞場wnを素通りし、濃霧の中をタヌキの白く光る目が左に横切りました。 


シーン3:3/4・午後17:03・(@0:23〜) 
カメラの誤作動で明るい夕方にたまたま撮れた現場の様子です。 
ちなみに日の入り時刻は午後17:38。 

実は今回、トレイルカメラをこれまでとは逆の、川の方に向けて設置していました。 
画面の右から左に向かって川が流れていて、奥には中州が見えます。 
川岸は未だ残雪で覆われています。 
此岸の雪面に残されたタヌキの溜め糞(画面中央)は黒いので、昼間に太陽熱を吸収してどんどん雪の中に沈降します。 


シーン4:3/4・午後22:09・(@0:30〜)
晩になると、右(上流)から川辺りを歩いて来たタヌキが立ち止まってカメラを向いていました。 
凍結した雪面に座ると、体をねじって後足で右脇腹をボリボリと掻きました。 
そのまま左(下流)へ足早に立ち去りました。 


シーン5:3/7・午後21:01・(@0:43〜) 
3日後の晩に来たタヌキが、ようやく溜め糞場wnの雪の凹みに跨っていました。 
排便したかどうか気になるところですが、肝心なときにカメラのトラブルが発生して上手く撮れていません。 
(私の予想では、脱糞していません。)
タヌキは溜め糞場wnの窪みから出ると身震いしてから、右(上流)に立ち去りました。 


シーン6:3/8・午前1:46・(@0:59〜) 
どうやらタヌキがペアで来たのに、カメラの起動が遅れて先行する個体を撮り損ねたようです。 
後続の個体が川岸を左から右へ(上流へ)横切りました。 
溜め糞場には立ち寄りませんでした。 

余談ですが、白くて細い糸がいつの間にか画面の左上から右へ張り巡らされていて、夜風にそよいでいます。 
クモの幼体が糸を吹き流して空を飛ぶバルーニングに関係した糸でしょうか? 
啓蟄(大地が温まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ)を過ぎた早春と言っても、ここは雪国です。
こんなに残雪があって未だ寒い時期にバルーニングするクモが居るとは知りませんでした。
東北地方の一部で雪迎え(秋のもの)、雪送り(春のもの)などと称する。(wikipediaより引用)
冬の季語である「雪迎え」は知っていましたが、これは「雪送り」なのかも。 
名著『飛行蜘蛛』を昔読んだはずなのに、内容をすっかり忘れてしまっています。 
また読み返さないといけません。 
筆者の錦三郎氏は山形県出身の偉大なるナチュラリストです。 
ただし、実際にこの目で観察しないことにはクモの糸とは決めつけられません。
例えば芋虫が越冬明けの早春に吐糸したのかもしれませんが、それならそれで面白い現象です。


シーン7:3/9・午後23:02・(@1:10〜) 
翌日の小雪が降る深夜。
溜め糞場wnをチェックしただけで、タヌキは右(上流)に立ち去りました。 


シーン8:3/10・午前3:46・(@1:20〜) 
4時間45分後、日付が変わった未明に同一個体が戻ってきたのでしょうか? 
奥の川岸を右から左へ(下流へ)歩いて行きます。 
残雪の表面は固く凍っているようで、タヌキが歩いても足が全く潜りません。 
途中で立ち止まって右を振り返りました。 
後続のパートナーを待っているのかな? 


シーン9:3/14・午前1:17・(@1:31〜) 
3日後の深夜にタヌキが左(下流)から登場。 
溜め糞場wnを素通りして右(上流)へ移動します。 
雪が溶けた地面の匂いをタヌキが念入りに嗅ぎ回っているのは、ネコの残り香が気になるのかもしれません。 
実は直前に猫が通りかかったのです(映像公開予定)。 


シーン10:3/15・午後23:05・(@2:02〜) 
翌日の晩遅くにタヌキがやって来ました。 
川岸の残雪が完全に溶けて、枯れ草に覆われた地面が現れました。 
タヌキは溜め糞wnの匂いを嗅ぐと右(上流)へ立ち去りました。 


シーン11:3/15・午後23:16・(@2:20〜) 
10分後に右(上流)から戻ってきたタヌキが、左岸の水際を下流へ歩いて行きます。 


【まとめ】
この時期のタヌキは溜め糞場wnに排便しなくなりました。
この川の流域のどこかに、未知の大規模な(メインとなる)溜め糞場があるはずです。

溜め糞場にトレイルカメラを長期間設置すると、どうやらタヌキはカメラの存在に気づいて嫌がり、次第に来なくなってしまうようです。
赤外線の暗視カメラなら野生動物に気づかれずに隠し撮りできるという宣伝文句は嘘(誇大広告)じゃないか?という気がしています。

つづく→

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