2022年12月上旬~中旬
ニセアカシアを主体とする河畔林でホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場rvを見張るために設置した自動センサーカメラに写った野ネズミ(ノネズミ)の活動記録です。
これまでは野ネズミが林床で餌を探し回るシーンと、溜め糞場に来たシーンとを別々に分けて編集しましたが、今回はただ時系列順につなげただけです。
野ネズミは溜め糞場には滅多に来ないことが分かります。
たまに溜め糞に長居して食べているのは何でしょう?
タヌキが丸呑みした果実(液果)の種子が未消化のまま大便と一緒に排泄されるので、野ネズミはこれを目当てに通っているというのが本でよく見る説明です。
せっかくタヌキが種子散布したのに、野ネズミは液果の種子を捕食してしまいます。
しかしトレイルカメラの映像を見る限り、どうもそれでは野ネズミの行動をうまく説明できない気がします。
むしろ、気温の低い初冬でもタヌキ溜め糞の周囲に集まる少数の虫(ダンゴムシなど)を捕食しに野ネズミは通っているのではないか?という仮説に私は傾いています。
決定的な証拠映像を撮るためには、カメラを固定する位置をもっと下げて、ローアングルで野ネズミの口元を撮影する必要がありそうです。
それが分かっていながらカメラをハイアングルに設置したのは、なるべく広範囲をカバーして野ネズミが写る確率を上げるためです。
カメラを下げて画角が狭くなると、それだけ野ネズミが写る頻度が下がりますし、監視カメラの存在に気づいたタヌキが警戒して溜め糞場で排便しなくなってしまいます。
トレイルカメラによる行動観察だけでは限界があるので、今後はタヌキの糞分析をまじめにやる必要がありそうです。
シーン1:12/9・午後18・40(@0:00~)
画角内の中央やや下の左右に写っている黒々とした部分がタヌキの溜め糞LRです。
野ネズミがよく利用していた落枝の橋は、右下に一部しか写っていません。
この日の日の入り時刻は午後16:23。
右下から登場した野ネズミが落枝を伝って右側の溜め糞Rへ到達。
長居して未消化の種子を食べているのでしょうか?
シーン2:12/9・午後18・42(@0:45~)
落ち葉に覆われた林床でウロチョロと餌を探し歩いています。
シーン3:12/9・午後18・58(@1:40~)
探餌徘徊。
シーン4:12/9・午後19・21(@1:47~)
探餌徘徊中に左の溜め糞Lを横切ったのに、長居しないで下に立ち去りました。
我々ヒトの衛生感覚では、溜め糞の上を素足で歩いたり尻尾を引きずって歩いたりするのは不潔に感じるのですが、野ネズミは平気です。
キツネやテン、イタチなどの捕食者が怖い野ネズミは、ときどきタヌキの糞便臭をあえて身に着けて、自分の匂いの痕跡を消しているのでしょうか?
匂いによるカモフラージュだとしたら面白いですね。
シーン5:12/9・午後19・32(@2:36~)
林床を探餌徘徊中になぜか突然、溜め糞Rを跳び越えました。(@3:15)
野ネズミの見事な大跳躍(立ち幅跳び)を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
その後は溜め糞Rに長居して、何か採食しています。
シーン6:12/9・午後19・34(@3:46~)
黒土と化した古い溜め糞Lの端で野ネズミが落ち葉の下に頭を突っ込み、浅く穴を掘って何かを食べています。
残念ながら、落ち葉が邪魔でよく見えません。
シーン7:12/9・午後19・40(@4:45~)
画面の左上で立ち止まり、何かを採食しているようですが、よく見えません。
シーン8:12/9・午後20:29(@5:16~)
探餌徘徊で右上へ。
シーン9:12/10・午後18:07(@5:23~)
翌日の晩に野ネズミが採餌活動を再開しました。
右上からゆっくり溜め糞Lへ到達したところで、録画が終了してしまいました。
シーン10:12/10・午後18:14(@6:23~)
お尻の毛皮が黒い個体です。
本当に毛の一部だけ黒いのか、毛並みの艶による違いなのか、それとも土で汚れているだけなのか、赤外線の暗視映像では見分けられません。(おそらく前者?)
個体識別に使える安定した形質なら嬉しいのですが、どうでしょうか。
ウロチョロしてから、後半になると溜め糞Lに長居しました。
シーン11:12/10・午後18:18(@7:23~)
右上エリアで探餌徘徊。
シーン12:12/10・午後18:36(@8:23~)
画面中央から溜め糞Lに辿り着くと、最後は落枝を渡って右に立ち去りました。
シーン13:12/10・午後19:09(@9:24~)
上のエリアを右往左往しています。
前回の記事 ▶ 初冬の河畔林で虫を捕食する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】虫を見つけて捕食した成功体験が忘れられないのか、前夜(ほぼ24時間前)に虫が取れた場所を繰り返し調べています。
だとしたら、なかなか優れた長期記憶の持ち主ですね。
それとも、虫が居た痕跡や残り香を嗅ぎ付けたのでしょうか?
林床の落ち葉を口で引っ張ってどかし、念入りに探しています。
この時期の野ネズミはときどき落ち葉を集めて巣穴に運ぶのですが、今回の行動は巣材集めではなく、探餌行動の落ち葉めくりでした。
シーン14:12/10・午後19:12(@10:19~)
探餌徘徊。
シーン15:12/10・午後22:06(@10:42~)
前回の登場からだいぶ時間が経ちました。
溜め糞Rには少し立ち寄って軽く調べただけでした。
林床に転がっている落枝の上を伝い歩きして、素早く移動します。
シーン16:12/10・午後23:53(@11:42~)
探餌徘徊。
シーン17:12/11・午前6:16・(@12:11~)
日の出時刻は午前6:41。
野ネズミが次に登場したのは、日付が変わって日の出前でした。
画面右上の赤丸に注目してください。
小雨がぱらついているのに、しばらくボーっと佇んでいます。
休息シーンは退屈なので、5倍速の早回し。
その後は、上のエリアを探餌徘徊。
もしかすると、右上の林床に野ネズミの巣穴があるのかな?という気がしてきました。
シーン18:12/11・午後17:25・(@12:43~)
日の入り時刻は午後16:23。
夜行性の野ネズミは、明るい昼間は巣穴で休み、日が暮れると活動を再開します。
シーン19:12/11・午後20:58・(@12:51~)
林床をウロチョロ探餌徘徊。
シーン20:12/11・午後23:50・(@13:22~)
野ネズミが珍しく左の溜め糞Lに長居して何かを食べています。
この日もタヌキは来ておらず、溜め糞場rvに新鮮な糞が供給されたという訳ではありません。
立ち去る前に尻切れトンボで録画終了。
シーン21:12/11・午後23:57・(@14:22~)
探餌徘徊で右上へ。
シーン22:12/12・午前2:08・(@14:33~)
日付が変わった深夜未明に野ネズミが活動再開。
溜め糞Rに居座ってから、中央エリアでしばらく止まりました。
チビチビと何かを食べてるような気もしますが、真上から見下ろすアングルではメニューがよく見えません。
シーン23:12/12・午前2:12・(@15:33~)
落ち葉が積もった林床を右往左往。
シーン24:12/12・午前2:17・(@15:56~)
探餌徘徊。
シーン25:12/12・午前4:09・(@16:03~)
上のエリアを探索。
実はこの後、未明4:52にタヌキが来たものの、溜め糞Rの周囲をチェックしただけで排便せずに立ち去りました。
シーン26:12/12・午後22:14・(@16:18~)
晩遅くに現れた野ネズミが溜め糞Rを横切ってから溜め糞Lに長居して何かを食べています。
シーン27:12/12・午後22:20・(@17:18~)
探餌徘徊。
シーン28:12/12・午後23:07・(@18:13~)
右下から登場した野ネズミが落枝を伝って溜め糞Rへ。
タヌキの溜め糞の中央(糞塊)ではなく辺縁部を好んで野ネズミは訪問します。
シーン29:12/13・午前0:59・(@19:13~)
日付が変わった深夜に現れた野ネズミが林床を右往左往。
シーン30:12/13・午前1:37・(@19:34~)
珍しく左の溜め糞Lに来て長居しています。
シーン31:12/13・午前1:41・(@20:34~)
画面右上でしばらく静止しました。
退屈なので、5倍速の早回し。
白く光る目が開いていたままので、仮眠ではありません。
落ち葉の下で獲物(小さな虫)が動くかすかな物音を聞き取ろうと耳を澄ましているのかな?
カメラの電池が消耗し、録画途中で打ち切られました。
シーン32:12/13・午前2:55・(@20:51~)
うろちょろと探餌徘徊する途中で溜め糞Rを通り抜けました。
シーン33:12/13・午前3:08・(@21:14~)
溜め糞Lに居座って何かを採食しています。
シーン34:12/13・午後18:30・(@21:50~)
日の入り時刻は午後16:23。
日がとっぷり暮れてから河畔林を探餌徘徊。
これ以降はトレイルカメラの設置角度がなぜか勝手に変わってしまいました。
悪戯好きなカラスがワイヤーロックを嘴で引っ張ったのかな?
根雪が積もると野ネズミの採食行動がどう変わるのか、一番興味があったのに、その記録が全く残っていなくて残念無念。
野ネズミは雪国でも冬眠しません。
秋のあいだにせっせと貯めこんだ(あちこちに隠した)堅果類を少しずつ掘り出して食べ、春が来るまで逞しく生き延びるのだそうです。
つづく→
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