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2022/10/20

ヒガシキリギリス♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

 

2022年7月下旬・午前11:35頃・晴れ 

線路沿いの草むらからキリギリスの鳴く声がします。 
鳴き声の主を探すと、 ススキの生い茂る草むらの中にヤブカンゾウの群落があり、天辺のつぼみヒガシキリギリス♂(Gampsocleis mikado)が乗っていました。 
鳴いているキリギリス♂を見つけたのは初めてです。 
地上からの高さは目測で110cmぐらいでした。 

翅の動きに注目すると鳴き声と一致するので、この個体の鳴き声で間違いありません。 
ときどきチョン♪と鋭く鳴くときの翅の動きが顕著です。 
近くにいるらしい別個体♂と交互に鳴き交わしているようです。 
鳴き続けるのも激しい運動なのか、腹部を伸縮させて腹式呼吸しています。
近くの車道をひっきり無しに通る車の走行音がうるさいのに、キリギリス♂は周囲の雑音に負けじと平気で鳴いています。 
気温を測り忘れました。
・オスは前翅に発音器をもち、 
・成虫は夏に現れ、草むらなどに生息して他の昆虫などを捕えて食べる。鳴き声は「ギー!」と「チョン!」の組み合わせで、普通は「ギー!」の連続の合間に「チョン!」が入る。(wikipedia:キリギリスより引用)

自然の観察事典40『鳴く虫観察事典』によると、  
♂のキリギリスの前羽を調べてみると、羽のつけ根の部分だけが、背なかの上で重なりあうようになっています。この部分の左前羽の裏側には、太い翅脈に小さな歯がならんだヤスリがあります。そして右前羽の表側には、羽のふちの近くにまさつ片とよばれるかたい突起があります。キリギリスが羽をふるわせるたびに、重なりあった羽の部分で、まさつ片がヤスリをこすり、音を発生させます。発生したこの音を、膜状の発音鏡でさらに大きくして、キリギリスは、野原に大きな声を響かせるのです。(中略) 超音波をふくむ高い音波は、葉や枝に反射して遠くまでとどきません。そのため、キリギリスの♂たちは、繁った葉がじゃまにならないように、高い茎や枝にのぼって鳴きます。(p5より引用)


ヒガシキリギリス♂の鳴き声を声紋解析してみる 

いつものようにオリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルとして抽出し、なるべくノイズの少ない部分※を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。 
「チョン、ギー♪」から始まり、後半はなぜかチョン♪が省略されています。 
鳥の囀りさえずりとはまるで異なり、声紋にきれいな倍音構造は認められません。 
(※ 車の往来が途切れたときでも、風切り音が混じったり、歩行者の足音が聞こえたり、近くの町工場から出るノイズが混入したりしています。) 
音質にこだわるのなら、採集して飼育下で静かな深夜に録音するしかなさそうです。
つづく→ 鳴きながら脱糞するヒガシキリギリス♂


以下の写真では、発音器の前翅を激しく動かしている写真をあえて選んで掲載します。

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