2021年6月下旬・夜(撮影時刻不明)・気温15〜16℃
堤防のコンクリート階段に残された溜め糞にやって来る野生動物を突き止めるためにトレイルカメラを仕掛け、試行錯誤しています。
前回の記事:▶ 不審なトレイルカメラを調べに来たニホンアナグマ【暗視映像】
残された糞の形状からして、主にタヌキまたはアナグマの仕業だろうと予想していました。
それに追加してイタチ(またはテン)が残したと思われる糞も少量トッピングされていました。
中嶋捷恵『我が家にはいろんな動物がやって来る』という書籍によると、
(アナグマの)トイレについては糞をためる傾向が見られるものの、タヌキほどではない。小さな穴を掘ってそこへするが、何回か使うと別の場所に穴を掘る。土はかけずにそのままである。(p92より引用)ニホンアナグマ(Meles anakuma)が夜に現場を通りかかった暗視映像をまとめてみました。
シーン1:気温16℃
溜め糞のある階段の1段下を夜行性のアナグマが左から右へ足早に歩いて通り過ぎました。
なぜか溜め糞には興味を示しませんでした。
シーン2:気温15℃
同一個体なのか別個体なのか不明です。
前回と同じく左から登場し、階段(溜め糞の1段下)の臭いを頻りに嗅いでいます。
今までで最も長時間、画角内に滞在してくれました。
三脚およびトレイルカメラの存在にようやく慣れてくれたのかな?
溜め糞のある段に登ると臭いを念入りにチェックしました。
しかし、溜め糞のあるエリアの左端しか嗅いでいません。
残念ながら排便してくれませんでした。
更に1段上に登ると、ゆっくり右へ歩き去りました。
※ 画面の下に表示されている撮影時刻のタイムスタンプがでたらめな表示になっています。
前回の使用時に電池を使い切ったら、カメラ内部の時計が全てリセットされてしまったようです。
私がそれを知らずに電池を交換しただけでカメラを起動させてしまったのです。
ただし撮影法の細かい設定などは保存されていました。
※ 動画編集時にequalizorフィルターをかけて画面全体を明るく加工しています。
【調査の総括】
残念ながら、無人のセンサーカメラで連日監視しても、野生動物が溜め糞で実際に排便する証拠映像を撮ることはできませんでした。
本命のタヌキが一度も登場しなかったのが何よりも意外です。
不審なカメラの出現に警戒して、野生動物が溜め糞に近寄らなくなったり迂回したりするようになったのでしょうか?
トレイルカメラをしばらく現場に放置したら慣れてくれるかと思ったのですが、駄目でした。
カメラの設置場所が被写体から近すぎたのが問題かもしれません。
どうしてもこれ以上離すことができない、という現場の事情がありました。(背水の陣)
溜め糞に含まれていた未消化の種子から発芽して、ツユクサの群落が階段に繁茂するようになりました。
まさに種子散布(動物散布型)の結果です。
実はトレイルカメラを設置する直前に、動画の見栄えを考えて、溜め糞の周囲に生えた雑草を除去しました。
私が現場の草むしりをしたことで、夜行性の野生動物は嗅覚で異変を感じたのかもしれません。
(その後、夏の間にツユクサの群落が再生し、溜め糞をすっかり覆い隠してしまいました。)
今のところ、階段上の溜め糞に興味を示して匂いを嗅いだのはアナグマだけで、ネコとハクビシンは素通りしました。
ただし、溜め糞のある段は避けて通ったので、完全に無視している訳ではなく、不潔な糞を踏みたくないという衛生観念はあるようです。
溜め糞に新たな糞が追加されていない上に、古い糞がいつまでも分解されずに原形を保って残っているのがそもそも奇妙です。
私が溜め糞に鼻を近づけても糞便臭が完全に抜けていました。
実はかなり古い糞なのかもしれません。
下が地面ではなくコンクリートなので、糞がいつまで経っても分解されずに階段に残っているだけのような気がしてきました。(獣糞のミイラ化?)
そして、この溜め糞は野生動物のサインポストとしてもはや使われなくなった(新たに糞を追加してない)のだろうという結論に達しつつあります。
誰かが昼間に散歩させている飼い犬がここで定期的に排便し、溜め糞を形成したという可能性も考えました。
野生動物は夜行性と分かってきた私は、調査の後半になると昼間はトレイルカメラの監視モードを切ってバッテリーを温存する設定に変えました。
したがって、明るい日中の様子は写っていない可能性があります。
それにしても、新しい糞が追加されていない、という事実は変わりません。
ここでのカメラトラップ調査を諦め、別の場所にトレイルカメラを設置し直すべきかもしれません。
撮影は無人カメラに任せ、私はフィールドで新たな溜め糞ポイントをあちこち探し回っています。
一般に気温の高い夏の間は糞の分解速度が速く、大きな溜め糞として残りにくい、という問題があります。
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