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2021/08/21

巣立ち直後のヒヨドリ幼鳥をブロック塀から安全な場所に誘導する親鳥♀♂(野鳥)

 

2021年6月中旬・午後17:22〜17:35頃・くもり 

街なかの路地裏で♀♂つがいと思しき2羽の ヒヨドリHypsipetes amaurotis)が喧しく鳴きながら私の周囲を飛び回り始めました。 
庭木のヒバ(?)に出入りしていたので、これが営巣木なのかと予想して通りすがりにチェックしたものの、樹上にヒヨドリの巣は見つけられませんでした。 

ふと横を見ると、民家のブロック塀の上に巣立ったばかりのヒヨドリの雛(幼鳥a)がじっとしていました。 
羽根は一応生え揃っているものの、短い尾羽が幼い印象を与えています。 
腹には暖かそうな幼綿羽が密生していて、これから換羽するのでしょう。 
嘴と足の色はピンク(赤紫色)です。
羽根の色は地味でブロック塀に対して保護色になっていますけど、直線の塀から明らかに飛び出ているので、この幼鳥aは目立っています。 

川内博『大都会を生きる野鳥たち』という本によると、
ヒヨドリの雛は他の鳥より巣にいる期間が短く、まだ翼や尾が生えそろわず飛べない状態で巣から出ていく。(中略)巣内での育雛期間は、小鳥の場合ふつう2〜3週間だが、ヒヨドリは10〜11日で巣立っていく。(p149より引用)

水野仲彦『野鳥のくらし:卵から巣立ちまで』p15によれば、ヒヨドリの「幼鳥は尾羽根が短い」とのことです。


もちろん私はヒヨドリの幼鳥に危害を加えたり誘拐したりする意図はありません。 
それでも私の頭上で見張っている親鳥は、けたたましい警戒声♪を発し続けています。 
一方、幼鳥はヒトに対して未だ恐れを知らないようです。 
私が近くで見ていても幼鳥は緊張するどころか、やがてブロック塀の上でウトウトと居眠りするようになりました。 
腹が空いてくるはずなのに、この幼鳥は近くの親鳥に対して一度も餌乞いの鳴き声を発しませんでした。 
この動画でときどき聞こえる餌乞いは、別個体の幼鳥による鳴き声です。(@3:50) 
親鳥の警戒声は幼鳥に対して、「危険な動物(捕食者や天敵)がすぐ近くにいるから、居場所がバレないように絶対に鳴いたり身動きしたりするな!」と命じる意味合いもありそうです。
この幼鳥aは満腹状態だったというよりも、親鳥の言いつけをしっかり守って静かにしていたようです。 
ブロック塀のすぐ横の路地を車が通過しても逃げませんでした。 

親鳥が幼鳥aに巣外給餌するシーンが撮れそうだと期待して、後半はかなり離れたところから見守りました。 
しかし、私の予想通りの展開にはなりませんでした。 
路地に張り巡らされた電線や屋根の上の古い八木式アンテナの間を親鳥が忙しなく飛び回っています。 
私が親鳥にカメラを向ける度に警戒を強め、飛んで移動します。 

どうやら私が人畜無害だと分かってくれたようで、いつの間にか親鳥は居なくなり、辺りは静かになりました。 
後で分かったことですが、実はこのとき更に2羽(以上?)の巣立ち雛が近所のあちこちに点在していました。
親鳥♀♂は同時に複数の巣立ち雛の面倒を見る必要があり、てんてこ舞いだったのです。
親鳥は幼鳥のため採食しに出かけたのでしょう。 

しばらくしてから電柱の足場ボルトや電線に戻って来た親鳥♀♂は、共に赤い果実を嘴に咥えていました。(@4:20) 
どこか近くの庭木からナツグミの熟果を採取してきたようです。 
しかし餌を咥えた親鳥♀♂は幼鳥aの頭上を何度も行き交うばかりで、幼鳥aが待つブロック塀には決して降り立ちませんでした。 
親鳥が幼鳥aに巣外給餌しないのは、私に警戒しているからだけでなく、餌で釣って幼鳥を安全地帯に誘導しようとしているのだと意図が読めてきました。 
とてもよく目立つ餌(赤い実)を運ぶ親鳥の姿を目にしているはずなのに、ブロック塀の上で待つ幼鳥aは全く餌乞いせず静かにしています。 
親鳥の激しい動きに私が気を取られた隙に、幼鳥aが遂に移動したようです。 
ブロック塀の上から不意に居なくなったのです。 
撮影中の私は幼鳥aの姿を完全に見失ってしまったのですが、動画をスロー再生すると(@5:06〜)親鳥が引率して路地を渡り、反対側の木造家屋の窓の庇に親子が並んで乗っていました。 
どうやら無事に移動したご褒美として幼鳥にナツグミの熟果を巣外給餌したようで、親鳥はもう空荷でした。 
決定的瞬間を見逃してしまったのは残念無念…。 
庇に幼鳥aを残したまま、親鳥は飛び去りました。 
新しい場所では通行人の目線よりも高くなった上に、焦げ茶色の背景に見事に隠れ、ヒヨドリ幼鳥aの姿は全く目立たなくなりました。 

野鳥の巣立ち雛を見つけても勝手に「保護」したり持ち帰ったり(誘拐)してはいけない、と愛鳥家によく指導されます。 
確かに巣立ち雛には手を出さず、近くで見守っている親鳥に任せるべきだということが今回よく分かりました。 

※ 親鳥が電線で鳴いている♪シーンは動画編集時に逆光補正を施しています。 

つづく→近くで巣立ち雛の別個体を発見!


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