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2021/04/29

収穫後のリンゴ園で落果を拾い食いするニホンザルの群れ

 

2020年12月上旬・午後12:00頃・くもり
前回の記事:▶ 初冬のリンゴ園で下草のクローバーを採食するニホンザルの群れ
山麓のリンゴ園に侵入した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れは、地面に落ちている果実を稀に見つけると喜んで食べていました。 
2頭の記録映像をまとめました。 
もしかすると連日のようにこのリンゴ園に通って落果を食べていたのかもしれません。

シーン1: 
右から歩いて来た♀成獣が地面の匂いを嗅いだと思ったら、リンゴの落果を見つけました。 
(四足歩行の際に乳首が見えたので、♀と分かります) 
その場に座り込んでリンゴを食べ始めました。 
ところが落果を完食する前に惜しげもなく捨てて、遊動を再開。 
リンゴは食べ飽きているのか、たまたま味が気に入らなかったのでしょうか。 
少し移動すると、下草のクローバーを手で毟って採食し始めました。 

シーン2: 
右から走ってきた若い個体がリンゴの樹の下で立ち止まり、地面に落ちていた落果を食べ始めました。 
地面に落果を置いたまま姿勢を低くしてコソコソと食べている(犬食い)ので、初めは採食メニューが不明でした。 
しばらくすると、ようやくリンゴの赤い果実を両手で持ち上げて見せてくれました。 
落果にかぶりつくと、口からリンゴの果汁が滴り落ちます。 
ときどきリンゴの果皮と種子を口から吐き出しているようです。 
リンゴを食べる合間に下草のクローバー(おそらくシロツメクサ)も口に運んで味変しています。 
食べながらも周囲の動向を油断なく警戒しています。 
私の目を恐れているのではなく、群れの他個体に見つからないように警戒しているような気がしてきました。 
若くて弱い猿は、成獣(群れ内で上位の個体)に餌を強奪されることが多いのでしょう。 
幸い、他個体には気づかれずにリンゴを味わっています。 

※ 周囲の群れの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


このリンゴ園では収穫前にどのような猿害対策をしているのか知りませんが、敷地の周囲に電気柵を張り巡らしているリンゴ園が多いです。 
収穫が終わると電気柵も撤収し、ニホンザルが再び山からリンゴ園に侵入できるようになったのでしょう。
商品価値のない落果なら猿に食べられても惜しくないのでしょうが、リンゴ園に落果を放置しておくのは餌付けと同じことです。 
ニホンザルなど野生動物の群れを誘引することになり、鳥獣害対策は元の木阿弥になります。 
野生ニホンザルによる食害に困っているのなら、リンゴの味を覚えさせてはいけません。 
年がら年中、電気柵に通電するのはコストが見合わないのでしょう。
面倒でもリンゴの落果をまとめて深く掘った穴に埋めるか、頑丈なコンポスト容器に入れて堆肥にするのが地道な猿害対策として大切だと思います。
ただし前回の記事で紹介したように、リンゴ園の下草のクローバーも野生ニホンザルにとっては魅力的な餌資源であることが分かったので、難しい問題です。
「猿害対策の王道としては下草のクローバーも秋には刈り取るべき」と提案したいところなのですが、それは現実的ではないでしょう。

 

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