2020年12月上旬・午後12:15頃・くもり
晩秋に生き残った赤トンボ♀が農村部の溜池(釣り堀?)で最後の力を振り絞って打水産卵していました。(映像なし)
それより気になったのは力尽きた2匹の赤トンボで、池の水面で溺れています。
沈まずに水面で浮いているので、すぐに溺れる心配は無さそうです。
しかし水難トンボがいくら激しく羽ばたいても、水面に波紋が広がるだけで、表面張力を振り切って飛び立つことが出来ません。
翅が濡れるとトンボは重くて飛び立てないのかもしれません。
もしかして、岸を目指して必死で泳いでいるのかな?
疲れると水面でしばらく休息。
映像を見る限り、溺れているトンボの種類はおそらくアキアカネ♂(Sympetrum frequens)だと思います。
翅先に黒斑が無いので、ノシメトンボではありません。
一方、この池には黒いコイ(鯉;Cyprinus carpio)が何匹も泳いでいました。
小魚の群れも水中に見えます。
水面で暴れるトンボが立てる波紋に気づいたようで、鯉が集まってきました。
同一個体のコイが2匹の水難アキアカネ♂を続けざまに捕食しました。
パクリと丸呑みです。
トンボが水面で暴れずにじっとしていれば魚に察知されずに済んだかな?
捕食シーンが撮れたので満足した私がズームアウトしかけると、事件が起こりました。
撮影中は気づかなかったのですが、新たに別のトンボ♂が池に飛来し、水面で溺れている個体に体をぶつけてそのまま自分も溺れてしまったのです。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
水難♂を♀と誤認し、交尾を試みて水面に囚われてしまったようです。
「ミイラ取りがミイラになる」とはまさにこのことで、トンボの繁殖池が「死のトラップ」と化しています。
池の鯉にしてみれば、餌となるトンボが勝手に連鎖反応で水面に落ちてくれるので食べ放題のお祭りでしょう。
私の推察が正しければ、実験で再現できるはずです。
つまり、囮となるトンボの標本(死骸)を水面に浮かべておけば、交尾しようと次々にトンボ♂が水に飛び込んでくる「死のダイブ」が再現できるはずです。
晩秋の静かな溜池で人知れずドラマチックなことが起きていて、私も結構感動しました。
※ 動画編集時にコントラストではなく彩度を少し上げました。
水面から照り返しが眩しくて、撮影中はあまりよく見えませんでした。
こういうときこそ横着せずに偏光フィルターをレンズに装着すべきでしたね。
【追記】
新井裕『トンボ入門』p81によると、
トンボが水を飲もうとしておぼれ死ぬケースもよくある
トンボの飲水行動を私は未見なので、次からは注意して観察することにします。
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