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2020/11/29

岩肌を舐めてミネラル摂取するスミスハキリバチ♀

 

2020年8月中旬・午前9:40〜10:05頃・晴れ 

里山の山頂付近にある奇岩群を見に行くと、オーバーハングした巨岩の窪みにスミスハキリバチ♀(Megachile humilis)が長時間止まっていました(標高約460m地点)。 
ようやく飛んでも岩の同じ箇所に執着し、ホバリングと着陸を繰り返しています。 
朝から夏の日差しが強いので、ひんやりした岩肌の日陰で休んでいるのでしょうか? 
どうやら岩の表面を長々と舐めてミネラルを摂取しているようです。 
背側からは肝心の口元が見えなかったのですが、横を向いた際に、茶色で細い口吻(舌)がチロチロと動いているのがようやく見えました。 
日本産ハナバチ図鑑』に掲載された標本写真(p324)で確認すると、スミスハキリバチ♀の舌は確かに褐色でした。
▼関連記事(10年前の撮影@日傘の金属柄) 
スミスハキリバチ♀の塩分補給
巨岩が大きくオーバーハングした部分なので、雨水に含まれる微量のミネラルではなく、岩自体から塩分が析出しているのだと思います。 
この岩石の鉱物としての正式名称を知りたいところですが、私は地学を全く勉強してこなかったので分かりません。 
この辺り一帯が海底だった大昔の地層が大岩となって露出したのだとしたら、塩分が多く含まれていそうです。 
それとも海底火山が噴火した溶岩が固まった岩なのでしょうか? 
私も実際に岩肌を味見してみれば良かったですね。  

スミスハキリバチ♀は岩肌に止まっている間も、激しく腹式呼吸しています。 
オーバーハングした岩壁をときどき少し歩き回ります(登る)。 
触角で岩の表面を探りながら一心不乱に舐めているようです。
急に歩行徘徊が活発になり、かすかな羽音を立てて岩から飛び去りました。 
すぐにまた岩肌のほぼ同じ地点に着地しました。 
今度は側面を向いてくれたおかげで、ようやく口吻の動きがはっきり見えました。 
茶色の舌は意外に細かったです。 
腹部はハキリバチに特有のやや海老反り姿勢になっていました。 
腹部下面にあるはずのスコパ(花粉刷毛)が見えませんでした。 

やがて岩肌のスミスハキリバチは私から見えない死角に移動してしまいました。 
岩の窪みに頭を突っ込んでいて、腹式呼吸する尻しか見えません。 
ここに巣があるでしょうか? 
ずっと居座っているので、巣口をガード中なのかと疑いました。 
スミスハキリバチは借坑性なので、岩の窪みに営巣しても不思議ではありません。 
しかし、葉片で育房を作って貯食するには窪みの深さが足りない気がします。 
山道を登ってくる途中で蜜源植物(咲いている花)をほとんど見かけなかったので、巣材(葉片)の調達はともかく食料がさほど多くない山頂付近でわざわざ営巣するメリットがあるのか疑問です。  

現場は足場がひどく不安で、蜂の行動や営巣地?を思うように撮影することができませんでした。 
ロッククライミングのように体を安全に確保するロープが無いと怖くて無理でした。 
一脚があれば、自撮り棒の要領で接写できたかな? 
仕方がないので、この大岩から一度降りて回り込み別のアングルから望遠で狙ってみたのですが、蜂はいつの間にか居なくなっていました。 
岩肌を撮った写真を見直してもハキリバチの巣穴は見つけられませんでした。 
営巣地ではなく岩を舐めに来たと個人的には解釈しています。 
営巣地探索中のスミスハキリバチ♀が凸凹した岩肌を調べている間に舐めたら塩味風味で(?)美味しかったのでしょう。
例えばニホンザルなどの野生動物もときどきこの岩を舐めにやって来る、というような民間伝承が残っていたら面白いですね。
ここに無人カメラを仕掛けておいたら(カメラトラップ)明らかになるはずです。
動物や昆虫が入れ代わり立ち代わりこの大岩を舐めた結果、現在のように大きくえぐれた独特の形状になったのだとしたら…と私の妄想は更に膨らみます。
君が代に歌われた「千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」とは逆に、長い年月をかけて大岩が削られていくイメージです。
もちろん、ただの風化でこの形になっただけかもしれません。
ミネラルが岩から析出?


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