2020年5月中旬・午後14:50頃・晴れ
空き地の原っぱにノボリフジ(別名ルピナス)の花が咲き乱れていました。
今どき、こういう「空き地の原っぱ」はとても貴重です。
ノボリフジに訪花して送粉者となる昆虫を知りたくて、この春はルピナスの群落に通い詰めました。
まず出会えたのは、ヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)でした。
とても小さな蜂なので、途中からマクロレンズを装着して接写します。(@1:07〜)
ヤマトツヤハナバチは最近私のお気に入りです。
この群落ではピンクの花も少し咲いていたのに、私が見たヤマトツヤハナバチ♀は青い花ばかり訪れていました。(確率の問題?)
ルピナスの花は花弁が特殊化しており、マメ科に特有の蝶形花という複雑な構造をしています。
ヤマトツヤハナバチ♀は、ぴったり閉じた左右の翼弁をこじ開け、頭を中に突っ込みました。
頭隠して尻隠さずの状態で、吸蜜および集粉しているようです。
蝶形花の中にヤマトツヤハナバチ♀が完全に侵入することもあります。
左右の翼弁が自然にぴったり閉じて蜂の姿が全く見えなくなりました。
ルピナスの蝶形花内で方向転換した蜂は、頭だけ外に出しました。
愛嬌のある顔を正面からクローズアップすると、頭楯の特徴的な黄紋からキオビツヤハナバチではなくヤマトツヤハナバチと同定できます。
図鑑によればヤマトツヤハナバチは山地性らしいのですが、ここは平地です。
そもそも私は未だ平地性のキオビツヤハナバチを見つけたことがありません。
ここは北の雪国なので、気温による補正が入って虫の垂直分布が変わるのではないかと個人的に予想しています。
ノボリフジの花粉がたくさん採れると、ヤマトツヤハナバチ♀は次の花へ飛び立つ前に身繕いをします。
後脚の
ルピナスの花に止まっていた蜂が飛び去ると軽くなり、蝶形花の竜骨弁が自然に持ち上がって再び閉じる様に驚きました。(感動!)
ヤマトツヤハナバチ♀は花弁が散って雄しべが剥き出し状態の花にも訪れて採餌(集粉)していました。
後半になるとヤマトツヤハナバチ♀は経験を積んで学習したのか、採餌行動が洗練されてきました。
蝶形花の翼弁をこじ開け、中から尖った鈎状の構造物(竜骨弁)を外に引っ張り出しました。
その中に雄しべが隠されているようです。
鈎状に尖った先端を蜂が噛んだり舐めたりすると、雄しべの葯からオレンジ色の花粉が大量に湧き出してきます。
その場で身繕いして体に付着した花粉を
花粉を集める(集粉)だけでなく花蜜も吸っているはずだと思うのですが、吸蜜シーンはよく見えませんでした。
ルピナスの花は、マメ科に特有の蝶形花という複雑な構造をしています。
初めて見るヤマトツヤハナバチ♀の採餌行動がよく理解できなかったので、最後に私も自分の手でノボリフジの蝶形花をひとつ分解して調べてみました。
翼弁をむしり取り、竜骨弁の先端をちぎり取ると、雄しべと雌しべが現れました。
雄しべの先端の葯を潰すと橙色の花粉で指が染まります。
つづく→採餌経験の浅いヤマトツヤハナバチ♀はルピナス蝶形花の攻略に苦労する【NG集】
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