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2015/07/19

マイマイガ(蛾)幼虫の毛の防護効果:ムネアカオオアリ♀を撃退



2015年6月中旬

コンクリートのポーチでムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が餌を探して徘徊しています。
たまたま近くを這い回っていたマイマイガLymantria dispar japonica)の幼虫(ブランコケムシ)を襲おうと働き蟻が近づくも、毛のせいで噛みつくどころか近づけないでいます。
毛虫が体を振ってアリを払いのけて、勝負あり。

同様の対決シーンをもう一度観戦することが出来ました。
徘徊していたマイマイガ幼虫が立ち止まると、ムネアカオオアリが興味を示して背後(横)から襲おうとしています。
ところがまるで結界を張られたように、長い毛に阻まれて近づけません(噛みつけない)。
遂に毛虫が尾を振ってしつこいアリを払いのけ、歩き去りました。
一方、あっさり撃退されたアリは「嫌な物を触ってしまった」とばかりに身繕いしています。
最後は毛虫に定規を並べて採寸。
日本最大のアリが負けるという対戦結果は意外でしたが、毛虫がもつ毛の防衛効果をまざまざと実感できました。




「生きもの写真家 安田 守の自然観察な日々」さんのブログ記事で最近教えてもらった毛虫の毛の意味に関する研究の真似をして、もし鼻毛カッターでマイマイガ幼虫の毛刈りをしたら、ムネアカオオアリは捕食できるようになるでしょうか?

Sugiura, Shinji, and Kazuo Yamazaki. "Caterpillar hair as a physical barrier against invertebrate predators." Behavioral Ecology 25.4 (2014): 975-983.(全文PDF

この周辺にはマイマイガ幼虫が大発生していて、多数の毛虫があちこちに徘徊していました。
アリが寄って集って毛虫を襲えば勝ち目がありそうですけど、そのような集団戦法による捕食シーンは一度も見ていません。
また、ムネアカオオアリの巣口における遭遇戦でも、門番アリが巣を激しく防衛するどころかマイマイガ幼虫に遠慮することを、同じ日に観察しています。

▼関連記事 
マイマイガ(蛾)幼虫が巣口に近づいても敬遠回避するムネアカオオアリ♀【暗視映像】
毛の防御効果がそれほど高いのなら、どうして全ての種類の幼虫が採用しないのでしょうか?
長い進化の過程を経て、毛の無い(少ない)芋虫タイプの幼虫が多く残っているということは、毛虫戦略にも何かデメリットがあるのかもしれません。

ところで先日、マイマイガ幼虫を狩るセグロアシナガバチ♀を観察しました。
アシナガバチは毛虫の毛を一体どのように攻略して狩りに成功したのでしょうか?
狩り(アタック)の瞬間を見逃したのが残念です。
単純に大顎のサイズが、セグロアシナガバチ>ムネアカオオアリということで説明がつくのかな?



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