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2014/08/12

ウツギヒメハナバチ♂の探雌飛翔と♀の交尾拒否【ハイスピード動画】



2014年6月中旬

堤防に咲いたウツギの花で採餌するウツギヒメハナバチ♀(Andrena prostomias)を撮っていると、突然♂が飛び付いてきて交尾を試みることがあります。
多数のペアを撮れたので、そのようなシーンをまとめてみました。
冒頭だけ通常のHD動画(リアルタイム)で、残りは240-fpsのハイスピード動画(1/8倍速のスローモーション)です。(@0:29〜)

引きの絵で撮ると分かりやすいのですが、交尾相手の♀を探す♂は空中を蛇行するようにジグザグに飛んできます。
訪花中の♀を見つけるとホバリング(停空飛翔)で狙いを定め、飛び付きます。
儀式的な(ロマンチックな)求愛行動のようなものは見られず、♂が捕獲した♀にしがみつき急いでマウントしようとするだけの何とも無粋な配偶行動です。

一方、採餌に忙しい♀は♂に迫られる度に、交尾拒否しています。

既に交尾を済ませており、産卵に必要な精子は充分に蓄えているのでしょう。
本種の交尾は一瞬で終わるらしいのですが、毎回スローモーションで見ても交尾器は繋がってないと思います。
残念ながら♂の求愛(アタック)が実って交尾に至った例は未見です。
6月の花嫁(ジューンブライド)を見ようと思ったら、営巣地を探さないといけないようです。
吸蜜中の♀は頭隠して尻隠さずの無防備な状態です。
突然♂に背後から挑みかかられて驚いた♀が必死に暴れて格闘になることもあります。
飛来した♂が♀に近づいただけで、♀が嫌って花から落ちるように飛んで逃げることがあります。
♀は花から花へ歩いて逃げ、花の陰に隠れてやり過ごすこともあります。

ガールハントに失敗し独り残された♂はバツが悪そうにしばらく身繕いしてから飛び去りました。

♂は幼虫のために花粉を集めたりしないので、後脚の花粉籠は当然、空荷です。
もう一つ雄蜂の特徴として気づいたのは、♂だけ顔色(頭楯?)が白いようです。
体長は♀>♂。

『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ:その生態と保護』によると、

ウツギヒメハナバチは典型的な♂先熟で、♀は旧巣から脱出後にすぐ交尾する。p91より
ヒメハナバチ属では大半の種では単雄交尾(♂と1回しか交わらない)であると考えられるが、確認は容易ではない。p91
(♂の営巣場所で♀を探す)パトロール飛翔は、地上3〜5cmの低い空間で、ジグザグに行われた。p92
・ウツギヒメハナバチの処女♀は、越冬巣から出現直後の交尾は1回だけらしい。p93
交尾器の挿入は数秒間で瞬時に終わった。p93
・♀の数は♂の数の1/3しかいない。しかも、1回しか♂を受け付けない。p94


餌場での交尾行動はあのバイブル『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ』にも書いてなかったことなので、とても興奮しました。

※ 動画に登場する個体が全てウツギヒメハナバチなのか私には見分けられません。
コガタウツギヒメハナバチが混じっている可能性もあります。


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