2023年12月中旬・午後15:05頃・くもり
山麓の用水路に沿って2頭の野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)が遊動してきました。
発情した成獣♂が先行していますが、後続の若い♀個体に注目して下さい。
鼻筋が白く通っていることから、「鼻白」と呼ぶことにします。
先行する♂が谷に架けられた水路橋の手摺を渡っている間、鼻白♀は対岸で待機しています。
しばらくすると、後続の鼻白♀も水路橋の手摺を伝い歩きし始めました。
その足取りが明らかに異常です。
どうやら右後足を負傷しているようで、痛む足の裏を着地しないようにかばって、他の3本足だけを使ってヒョコヒョコと跛行しています。
初めはてっきり、ノイバラの棘などを足の裏でうっかり踏んでしまい、化膿した傷口が痛むのかと想像しました。
しかし途中で立ち止まったときによく見ると、右後足の甲が赤黒く変色していました。
逆側の健常な左足の色(あるいは健常個体♂の足の甲の色)と見比べてみて下さい。
右足首を捻挫したのかもしれません。
一体いつどこで右後足を負傷したのでしょうか?
冒頭の登場シーンを見返すと、鼻白♀は水路沿いを正常に四足歩行をしていました。
水路橋のたもとで怪我したのなら、悲鳴を上げたはずです。
足の裏に何か棘が刺さって痛むのなら、患部を気にして手当てするはずなのに、座ってるだけでした。
どうやら痛みを我慢しながら水路橋まで4足歩行して来たようです。
橋の手摺を伝ってどんどん近づいてきた鼻白♀は、谷の此岸で突っ立っている私を迂回するために、手摺から横の落葉高木(樹種不明)の枝へと身軽に飛び移りました。
3本足でも見事な跳躍力です。
そのままスルスルと木を下りました。
木登り能力を注意深く見ると、樹上では痛みをこらえて4本足を使っていました。
下向きになる木下り中は、後足にあまり負担がかからないのでしょう。
野生のニホンザルで手足を怪我した個体をときどき見かけるのですが、木登り能力を確認できたのはこれが初めてです。
地上に降りると、鼻白♀は負傷した右後足をかばって再び3本足で痛々しくヒョコヒョコと跛行し始めました。
ときどき小声で哀れっぽく鳴いたのは、鼻白♀の鳴き声だと思います。
(鼻白んで私とすれ違うときの不安や緊張の現れか?)
その後も、遊動する群れの仲間と一緒に塒 のスギ林に向かって休み休み跛行して行きます。
地上および樹上での跛行を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:54〜)
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