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2024/07/28

餌場に設置したトレイルカメラを興味津々で調べるツキノワグマ【暗視映像】

 

2023年10月下旬・午後21:40頃 

フィールドに木の実の給餌場を設けて、どんな野生動物がやって来るかトレイルカメラで撮影するプロジェクトを今季も始めました。 
昨年やり残したことが幾つかあるのです。 
餌場の場所は昨年(2022年)と全く同じで、里山の林道脇の法面に生えたカラマツ大木の根元にある窪みです。 
まずは緑色の果皮がついたままのオニグルミ落果を拾い集めてきて、給餌場に山盛りに置きました。 
すると数日後の晩に、想定外の珍客がやって来ました。 

至近距離からトレイルカメラの匂いを嗅ぐ獣の鼻息♪がすると思ったら、左から真っ黒な獣が登場しました。 
カメラに近過ぎて初めは何だか分からなかったのですが、ようやくツキノワグマUrsus thibetanus)の横顔がしっかり見えました。 
里山のこの地点でツキノワグマが撮れたのは初めてです。 

実は1時間55分前にニホンイノシシ♀がカラマツの幹にマーキングしたのですが(映像公開予定)、クマはカラマツの方を見て匂いを嗅いでいます。 
やがて、カラマツの根本にある餌場に気づき、オニグルミ果実の匂いを頻りに嗅ぎました。
餌場に夜な夜な足繁く通っていた野ネズミの残り香が気になるのかもしれません。 

意外にもツキノワグマはオニグルミの実を食べませんでした。 
秋は他にも美味しい食料が豊富なので(ドングリやブナの実など)、食べづらいクルミは敬遠するのでしょうか? 
オニグルミの果皮には渋いタンニンが豊富に含まれているので、果皮が腐って自然に剥がれ落ちるまでは、クマも口にしたくないのかもしれません。 
果皮が無くても、硬い殻を割らないと美味しい中身を食べられません。
(クマは力任せに噛んでクルミの殻を割るのかと予想していました。 ※追記参照)
あるいは、給餌したオニグルミ果実の一部から白カビが生えかけていたので、カビ臭い匂いを嫌ったのかな? 
もしもオニグルミではなく、ドングリやクリの実を給餌していたら、クマは食べてくれたかな?

ツキノワグマは餌場から離れ、ゆっくり右へ歩き去りました。 
横から見ると腹が膨らんでいるものの、外性器は認められませんでした。(性別不明) 

次にトレイルカメラが起動したときには、戻ってきたツキノワグマがカメラに興味津々で調べているところでした。 
胸に白い三日月紋がしっかり見えたので、今後の個体識別に使えそうです。 
シナノキの幹の低い位置に固定したカメラを明らかに見慣れない異物と認識しているようで、カメラの匂いを嗅ぐ鼻息が聞こえます。 
数日前に設置した際に私が触れた残り香が気になるのでしょうか? 

続けてクマは、トレイルカメラを取り外そうと、軽く前足の手を掛けました。 
レンズを覗き込むつぶらな瞳もチラッと写りました。 
ようやく気が済んだのか、クマは向きを変えて左に立ち去りました。 

無人カメラならではの迫力のある衝撃映像が撮れましたが、幸いカメラをクマに壊されずに済みました。 
トレイルカメラをシナノキの幹にベルトとワイヤーロックでがっちり固定していたおかげで、クマが乱暴に触れても、撮影アングルはほとんど変わっていませんでした。 

※ クマの鼻息が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

後日(11月上旬)に現場検証すると、カメラを固定していたシナノキの幹にツキノワグマの爪痕はありませんでした。 






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※【追記】
自然写真家 永幡嘉之氏の公式ブログに、クマの糞に含まれていたオニグルミの殻の破片の写真が掲載されていました。
クマの糞が「車に轢かれて雨に打たれた洗いざらし」の状態で見つかり、容易に糞分析できたそうです。
他に餌がなければ、固い殻に覆われたクルミ堅果もガリガリ齧って丸ごと食べてしまうことが分かります。

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