2023年7月下旬・午前11:55頃・晴れ
里山の細い林道でゼフィルスの一種が地面を歩き回っていました。
翅を閉じたままなので、日光浴ではありません。
弱っているとか、飛翔能力に何か問題のある個体なのか?と思って動画を撮り始めました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:25〜1:39)
動画をじっくり見直すと、オレンジ色っぽい口吻を伸ばして地面を舐めていることが分かりました。
性成熟に必須のミネラル成分(ナトリウムイオンやアンモニウムイオンなど)を摂取する行動と分かり、納得しました。
水溜まりなど湿った地面なら吸水のついでにミネラルを摂取できますが、乾いた地面を舐める際には胃から水分を吐き戻して溶かしたミネラルを摂取しているのでしょう。
口吻の先端だけを地面に付ければ済むはずなのに、口吻全体をベッタリと接地させて舐めていました。
関連記事(13年前の撮影)▶ エゾミドリシジミ♀の塩分補給
長い口吻をゼンマイ状にくるくると丸めてから飛び立ちます。
翅裏の色は地味ですけど、羽ばたくと翅表の美しいエメラルド・ブルーが目につきます。
翅表が派手なのは、ゼフィルス♂の特徴です。(顕著な性的二型)
短く飛んで、山道のあちこちで地面の味見をしています。
林道に落ちていた金属製のスプリング(バネ?)のような物の上を歩いて通り過ぎたものの、その金属をじっくり舐めることはありませんでした。
金属ではなくプラスチックだったのかもしれません。
地面から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:41〜)
翅表の美しい構造色をしっかり撮るのが目的です。
ゼフィルスは林道の地面が乾いて土がひび割れた地点に再び着地し、歩いていました。
しっかり閉じた翅がときどき横倒しになるのは、風に煽られているようです。
飛び立つと夏の強い日差しを浴びて、翅表がエメラルドグリーンに煌めきました。
翅の角度によって青っぽく見えたり緑っぽく見えたりします。
さて、このゼフィルスを映像から同定できるでしょうか?
翅があちこち破損した個体で、尾状突起も失われていました。
エゾミドリシジミ♂(Favonius jezoensis)またはジョウザンミドリシジミ♂(Favonius taxila)ではないかと思うのですが、どうでしょう?
栗田貞多男『ゼフィルスの森:日本の森とミドリシジミ族』によると、
高等ゼフィルスの♂では、早朝あるいは活動時間の後半に地表や葉上、枝などに残った水分を吸液するシーンによく出会う。とくに顕著なのはアイノミドリシジミで、午前10時ごろから昼にかけて、テリトリー周辺の路上や下草に舞い降りて吸水を繰り返す。まるで草原性のシジミチョウのように地表近くを弱々しく飛ぶが、数回の吸水を終えると生き返ったかのようにすばやい飛翔スピードで、森の中や梢へと飛び去る。この吸水習性は、栄養分というよりは純粋に水分の補給のように思われる。ジョウザンミドリシジミやエゾミドリシジミ・メスアカミドリシジミも同じ吸水行動が見られるが、アイノミドリシジミよりは弱い。
ハヤシミドリシジミは早朝、カシワの葉上あるいは芽の基部などにたまった水滴を吸うことが多い。この場合、単に水分だけを吸水しているのか、あるいは樹液、野鳥のフンなどの溶解分、アリマキや小昆虫などの分泌物や死体などからのエキスなどもあわせて吸液しているのかはたしかではない。 (p127より引用)「湿った路上で吸水するメスアカミドリシジミ」と題した写真も掲載されていました。
蛭川憲男『水場に集まる生きものたち』という本のp43に、
「吸水するミドリシジミ♂」と題した生態写真が掲載されていました。
砂利道の砂を舐めているようです。
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