2023年3月下旬・午後15:45頃・くもり
早春の雪解け田んぼに集結して落ち穂拾いしているコハクチョウ(Cygnus columbianus bewickii)の大群を撮影した動画を見直すと、赤い首輪を装着した個体が混じっていました。
コハクチョウは、北極圏の繁殖地と日本の越冬地を毎年行き来する渡り鳥です。
渡り行動を研究するために、一時捕獲した個体に首輪や足輪を付けて放鳥するプロジェクトが続けられています。
標識された鳥を見つけたら、世界中のバードウォッチャーが報告することになっています。
撮影中に気づいていれば、この標識個体を重点的に観察したのに、残念です。
微速度撮影中の私は三脚を立てて画角を決め録画を始めた後はひたすら寒風に耐えるだけで、何が撮れているかチェックしてませんでした。
長撮りする際はカメラの電池を節約するために、液晶画面(バックモニター)の表示をオフにしていたのです。
動画を拡大してみると、プラスチックの赤い首輪に白い文字で「C48」または「C4B」と書いてあります。
「標識コハクチョウ名簿」サイトで調べると、「首輪-赤C46」および「首輪-赤C48」が登録されていました。
目撃情報から、おそらく「首輪-赤C48」だろうと判明しました。
この個体は2年前の2021年8月1日にロシアの北極海に面するチャウン湾で標識されていました。
標識時には若鳥だったのに、2年後にはすっかり成鳥になっています。
渡りの途中でも日本各地で何度か目撃されています。
どうやら新潟県で越冬しているらしく、ここ山形県や北海道を経由してロシアに渡去していました。
近くの最上川を集団塒として山形県内で越冬する個体群が餌場に通っていた訳ではありませんでした。
地道な個体標識プロジェクトの強み・凄みをまざまざと実感しました。
白鳥の大群を漠然と眺めているよりも解像度が格段に上がり、特定の個体の暮らしぶり(生活史)が浮かび上がってきます。
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