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2023/12/01

ハシボソガラスは刈田を耕すトラクターを利用して虫を捕るか?(野鳥)オートライシズム

 

2023年4月下旬・午前11:00頃・晴れ 

毎年春になって耕運こううん機(トラクター)が田畑を耕していると、近くに野鳥が集まっていないか気をつけて観察するようにしています。 
騒音を上げて動き回る巨大な機械は、野鳥にとって怪物のように見えるはずです。 
恐怖を克服して野鳥が集まるのは、耕された土に交じって露出したミミズやケラなどの土壌生物をいち早く捕食するためです。 
これはオートライシズムと呼ばれる行動で、片利共生の一種です。
畑を耕している耕運機の後をムクドリ・ハクセキレイなどがついて歩き、掘り起こされた土の中にいる虫を探していることがあります。 鳥が自分の生活のために、他の動物や人の活動を積極的に利用することを「オートライシズム」と呼んでいます。 (平塚市博物館サイトの解説より引用)

大田真也『カラスは街の王様だ』によると、”autolycism”の語源は、ギリシャ神話の泥棒の名前(Autolycus:アウトリュコス)に由来するそうです。


平地の田んぼで水入れする前の耕耘が始まりました。 
作業するトラクターの近くを1羽のハシボソガラスCorvus corone)がうろついていました。 
積極的にトラクターに近づいてきたのでしょうか? 

カラスが頭部の羽毛を逆立てているのは、緊張や恐怖の現れだと思います。 
その状態だとハシブトガラスのようにも見えて紛らわしいのですが、トコトコ歩いて移動する(ウォーキング)ことからハシブトガラスですね。 
ハシブトガラスなら足を揃えてピョンピョン跳んで移動する(ホッピング)はずです。 

土を耕すトラクターの背後に回り込めば虫が捕食できるはずなのに、ハシボソガラスは畦道から反対側の刈田へ逃げてしまいました。 
オートライシズムは後天的に学習する高度な採食行動だと思いますが、この個体は未だ会得していないのかな? 
仲間が集まれば、もっと大胆になるのかもしれません。

鳥のオートライシズムという賢い採食行動は、バードウォッチングの写真集や書籍でたまに掲載されています。
私も動画に撮ってみたいのに、なぜか私のフィールドでは農村部でもあまり見られません。 


当地では収穫期になると爆音器や様々な鳥よけグッズを駆使して農作物を鳥の食害から守りますから、野鳥がヒト(農民)を恐れて近寄らなくなったのでしょうか? 
私が最も懸念しているのは、当地の田畑では長年の農薬使用で虫の数が激減し、トラクターが土を耕しても鳥が捕食したくなる虫がほとんど出てこないのではないか?という可能性です(沈黙の春)。 

ちなみに、水田を区切る畦の側面が水漏れしないよう丁寧に泥が塗りつけられ、きれいに均されていました。
(この作業を正式には何と呼ぶのでしょう?) 

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