前回の記事:▶ 交通事故死したホンドテンを解剖してみる
2023年1月上旬・午後14:00頃
ロードキル死骸のホンドテン(Martes melampus melampus)を解剖したついでに頭骨標本も作りたかったのですが、走行車と正面から激しく衝突して頭蓋骨の頭頂部が骨折していたので使い物になりません。
それでも冬の暇潰し(ブログのネタ)として、やれるところまでやってみました。
頭骨の表面に少しへばりついている脳や筋肉組織などをきれいに取り除く必要があります。
今回は残った組織を入れ歯洗浄剤(タンパク質分解酵素)で溶かしたりバクテリアに分解してもらうのではなく、ミールワームに食べさせることにしました。
関連記事(16年前の撮影)▶ ミールワームによるニワトリ骨のクリーニング実験
まずは皮を剥いで首から切り落としたホンドテンの頭部を専用の小鍋に入れて水から軽く茹でます(水煮)。
煮汁を捨てて粗熱を冷まします。
ピンセットや爪楊枝などを使って頭骨からチマチマと除肉しました。
それでもきれいに取り切れません。
ホームセンターのペットショップ・コーナーからチャイロコメノゴミムシダマシ(ミールワーム;Tenebrio molitor)幼虫を2パック買ってきました。
容器には「10gまたは約150匹」と記載されていましたが、2パック分のミールワームを実際に数えると、計255匹でした。
ホンドテン頭骨が収まる大きな容器にミールワームを餌のフスマごと全て移し替えました。
下半分をカットした2Lペットボトルを飼育容器として再利用します。
それまで水に浸しておいたホンドテン頭骨を容器に投入しました。
乾燥しないように、飼料のフスマを被せて頭骨を埋めるべきだったかもしれません。
(しかし、頭骨の状態が逐一見えなければ微速度撮影できません。)
5日後に微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像をご覧ください。
ミールワームの大群が蠕動徘徊するせいで、飼料や頭骨が波打つように動いています。
残った屍肉をミールワームが食べて頭骨をきれいにクリーニングする様子を記録したかったのですが、ここで問題発生。
どうやら撮影用の眩しい照明を嫌って(負の走光性)ミールワームがフスマの中に潜り込んでしまうようです。
好き好んでホンドテン頭骨に殺到している様子はありません。
それなら赤外線の暗視カメラに切り替えて暗所で微速度撮影すれば良かったのですけど、「どうせ激しく砕けた頭蓋骨だしなぁ…」とモチベーションが上がらず、ここで諦めてしまいました。
古生物学者は細かく折れた骨からでもパズルのように丹念に組み合わせて嬉々として復元するのですから、凄いですよね。
暗所に放置して5日後の状態 |
頭骨を裏返した下面 |
一方、解剖後のホンドテン死骸の残りは人気 のない野外の雪原に放置して、カラスなどのスカベンジャーに給餌することにしました。
どんな生き物が来るのかトレイルカメラを設置して観察したかったのですが、複数のプロジェクトを同時並行でやっているためにトレイルカメラの数が足りず、泣く泣く諦めました。
数日後に現場を再訪すると、ホンドテンの死骸は毛皮や内臓も含めてきれいさっぱり無くなっていました。
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