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2022/06/10

ガガンボを捕食する雪国のイオウイロハシリグモ(蜘蛛)

 

2021年12月上旬・午後12:15頃・晴れ 

山麓を流れる用水路(※)沿いの土手にうっすらと雪が積もりました。 
※ 暗渠でしかも、この時期は水が流れていません。
未だ根雪になる前なので、ところどころ緑の草が雪に埋もれずに顔を出しています。 
パッチ状の草の上でイオウイロハシリグモDolomedes sulfureus)が日光浴していました。 
右の第2および第3歩脚が根元から欠損した個体で、おそらく亜成体と思われます。 

イオウイロハシリグモの目の前に大型のガガンボの一種が飛来し、まるで吸い寄せられるようにクモの近くの雪上に着陸しました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
このガガンボの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。 

ガガンボは翅を畳むと、草の葉をよじ登り始めました。 
その振動を感知したイオウイロハシリグモは、獲物に素早く駆け寄ってあっさり捕獲に成功しました。 
これは待ち伏せ型の狩りと言えるでしょうか。
電光石火の早業をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
12年前も昔にイオウイロハシリグモを飼育したことがあるのですけど、当時も狩りの瞬間は観察できておらず、今回が初見です。 
クモは触肢と第1脚で獲物を素早く押さえ込んでいます。 
ガガンボの細長い腹部に噛みついて毒液を注入し、吸汁を始めたようです。 
今回の狩りでは、腹端の糸疣から絹糸を出して獲物を簀巻きにすることはありませんでした。

ガガンボの長い翅が邪魔で持て余しています。 
クモはガガンボの翅を食事中に噛み切って捨てるかと思いきや、クシャクシャに丸めながら吸汁を続けました。 

後半は撮影アングルを少し変更しました。 
イオウイロハシリグモの大顎と触肢がかすかに動いているものの、背側から見下ろすアングルでは小さく丸めた獲物の状態がよく見えません。 

クモは越冬する前に、凍結防止のため絶食して胃腸を空っぽにするはずです。 
雪が積もる時期になっても未だ食欲があるとは意外でした。 
長い冬越しに備えて、獲物をたくさん食べて脂肪を蓄えているのでしょう。 

食餌中もクモは太陽に対して正対し、直射日光をしっかり背中に受けています。 
周囲は残雪ですから、日光浴で体温を上げているのでしょう。 
クモの体温が上がれば消化活動も活発になるはずです。
撮影直後に気温や雪面の温度を測ったのですが、その値を記した野帳を紛失してしまいました…。 



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