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2022/05/05

ナンテンの熟果をついばむ雪国のヒヨドリ【冬の野鳥】

 

2022年2月中旬・午後16:05頃・晴れ 

飲み屋の店先に植栽されたナンテンの灌木でヒヨドリHypsipetes amaurotis)が赤く熟した果実を啄んでいました。 
ナンテンの細い枝先になんとか器用に止まり、赤い実をひと粒ずつ啄んで丸呑みしています。 
餌の乏しい雪国の厳冬期でヒヨドリはよほど空腹なのか、私が歩いて近づいてもギリギリまで逃げずに食事を続けています。 
横の車道を車が次々に通過しても平気でした。 
実は私が一度通り過ぎるとヒヨドリは近くの電線に避難したものの、私が撮影のために通りの反対側に渡ってしばらくすると、ヒヨドリはナンテンの灌木に舞い戻って食事を再開してくれました。 

この組み合わせはバードウォッチャーには馴染みのある季節の風物詩ですが、ようやく私も動画で記録することが出来て感無量です。 
長年の宿題が片付きました。 

叶内拓哉『野鳥と木の実ハンドブック』でナンテンの項目を参照すると、
12月頃までは鳥が食べることはほとんどない。採食し始めるのは、多くは年が明けた頃からで、ほとんどはヒヨドリが採食し、他の鳥が食べるのは非常に珍しい。(p18より引用)
満腹になるとヒヨドリはようやく飛び去りました。
丸呑みした果実に含まれる種子は未消化のまま糞と一緒にどこか遠くに排泄され、ナンテンの種子散布を助けていることになります。
 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、ヒヨドリがときどき採食に失敗して実を落としていることが分かりました。 
小さくて丸くてツルツル滑りやすいナンテンの果実を嘴で掴み損ねてしまい、弾き飛ばしてしまったようです。 
うっかり失敗した(取りこぼした)のではなく、意図的に果実を選り好みしている可能性もありますかね? 
動画撮影中に計12個のナンテン果実の採食を試み、そのうち2個失敗しました(捨てた?)。 


【追記】
『稲垣栄洋 『たたかう植物: 仁義なき生存戦略 (ちくま新書)』によれば、
ナンテンは、哺乳動物に対しては有毒植物だが、鳥はナンテンの実を食べることができる。ただし、ナンテンの毒は鳥に対しても効果があるので、鳥も一度にたくさん食べることができない。そのため、一気に食べられることはなく、少しずつ何度も食べられたり、何羽もの鳥に食べられる。こうして植物は、鳥に対しても弱い毒を利用しているのである。(p164より引用)
ここまで踏み込んで解説してある本は少ないです。

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