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2021/06/04

早春の池で♀を呼ぶヤマアカガエル♂の鳴き声♪(求愛歌)

 

2021年3月中旬・午後14:05〜14:41・晴れ 

未だ雪深い早春の里山で冬眠から目覚めたヤマアカガエル♂(Rana ornativentris)が池の岸辺に陣取り、鳴いていました。 
♀を呼び寄せるための求愛歌で、辛抱強く待ち伏せしています。 
♀が来たら抱接し、産卵してもらうのです。 
♂が鳴いているシーンを動画で記録するのがとても苦労しました。 
私が雪山を登って池に近づくとヤマアカガエル♂の合唱が聞こえたのに、到着すると静かになってしまいました。 
ヤマアカガエルはとても警戒心が強く、私がザクザクと残雪を踏みしめて歩き回る物音を聞いたただけで、池の底にすぐ潜って隠れてしまいます。 
警戒心が解けて岸辺に戻って来るまで、私はかなり長いこと動かずにじっと待ちました。 
鳴かぬなら鳴くまで待とうヤマアカガエル しぐま

日当たりの良い山腹を流れる沢の水(雪解け水)が斜面の窪地に貯まって池になっているのですが、実は高低差のある2段の池L,Hが棚田のように連続しています(流れでつながっている)。 
下の池L(low)でようやく鳴き始めてくれた♂個体1匹に注目して撮影できました。 
池なのにチョロチョロ♪と水音が絶え間なく聞こえるのは、上の池H(high)から下の池Lに流れ込んでいる音です。 
このヤマアカガエル♂はちょうど流れ込みの直下で日当たりの良い岸辺に縄張りを張って待機していました。 
岸から生えた草に前足を掛けて体が流されないように固定し、池の外側を向いて静止しています。 
カエルは太陽を直視しても眩しくないのかな? 
後脚の大きく広げた内腿が、まるで緑藻が生えたように緑色でした。 (長い冬眠中に体表に藻が生えた?)

両頬の鳴嚢を風船のように膨らませながら、ココココ…♪と小声で繰り返し鳴いていました。 
求愛歌の合間には白い喉をヒクヒクと動かしています。 
日当たりが良い場所だったのに、日が傾いた後半は日陰になりました。 
そのせいか、最後にヤマアカガエル♂は岸辺を移動し始めました。 
(隣のライバル♂が気になるようです。) 

かなり苦労して撮ったのに、カメラのピントが被写体のカエルの目にしっかり合っていないような、変に滲んだ映像になってしまいました。 
今回は水面からのギラギラした反射光を抑えるためレンズに円偏光フィルター(CPLフィルター)を装着してみたのですが、その副作用で遠くの被写体をズームインしたときに像がぼやけてしまうのです。 
ヤマアカガエルの下半身など水面下の物は確かにきれいに写るのですが、水面から上に出たカエルの顔が少しぼやけてしまっています。 
安物買いせずにメーカー純正(正規品)のCPLフィルターを選んでいたら、こんな症状は出ないのでしょうか? 
普段は使いもしないCPLフィルターをわざわざ取り出して試してみたのに、大誤算です。 
何よりも、現場で撮影中にこの異状に気づかなかったことが悔やまれます。 
池から少し離れた雪原(雪山)に三脚を立てて撮影していたので、カメラのバックモニター(液晶画面)で確認したくても周囲が眩し過ぎて、細部までよく見えませんでした。 
(横着せずにビューファインダーでしっかり確認すべきでしたね。) 
よく晴れた雪山で半日過ごしただけで、雪からの強い照り返しで私の顔が少し日焼け(雪焼け)しました。 
動画の出来に満足できなかった私は、ヤマアカガエル♂の求愛歌を撮り直すために、数日後にも現場を再訪しました。 
ところがヤマアカガエルの繁殖行動は下火になっていて、♂は鳴かなくなっていました。 
来年にまた再チャレンジします。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
ヤマアカガエル♂の求愛歌を声紋解析してみる? 

午後13:13に測定した池Lの岸辺の水温は13℃でした。
池の底の水温はもっと低いはずです。 



【追記】 
平凡社『日本動物大百科(5)両生類・爬虫類・軟骨魚類』でヤマアカガエルの生態について調べると、昼間に鳴くのは珍しいと分かりました。
水場では夜になると♂が集まり、「キャラララ…キャラララ…」と頬にある1対の鳴のうをふくらませてさかんに鳴きあう。人気ひとけの少ない山間の池や水田などでは、明るいうちから鳴きだす個体もいるが、その場合はきわめて臆病で、少しでも人の気配がするとすぐに鳴きやんでしまう。(p36より引用)


【追記2】
ピッキオ『森の「いろいろ事情がありまして」 』という本でヤマアカガエルの繁殖行動を扱った第2話「スケートリンクのカエル合戦」によると、
 ♂は岸辺に集まり、「キャララ、キャララ」とかわいらしい声で鳴きます。1匹が鳴き出すと、それは付近が安全な証拠。それぞれライバル心に火がついたように鳴き出し合唱となります。(p12〜13より引用)

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