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2020/08/01

ツバメが車庫の軒下に作りかけた未完の泥巣(野鳥)

2020年5月中旬

街中の車道に面した古い車庫の軒下にツバメHirundo rustica)が作りかけた泥巣を見つけました。
作りかけの泥巣を中心として、軒下の一定の高さで、左右ほぼ一直線上に泥が点々と壁に付着しています。
ツバメの親鳥がコンクリートの壁面に巣材の泥玉を幾つも試し塗りして基質との相性(接着性)を調べてから、軒下の中央部で泥巣を本格的に作り始めたようです。
巣材には泥だけでなく藁のような枯れ草も混じっていました。
古くても立派な屋根付きの車庫(車1台分)で、南に面したコンクリート壁は飾り気がなく、その表面はざらざらしています。
春が遅い東北地方(雪国)と言えども、5月中旬でこの進捗状況というのは遅い気がします。
しかも今年は異常な暖冬の後で、春の到来やツバメの渡来が例年よりも早かったです。
したがって、親鳥がここに巣を作りかけたものの、何らかの理由で中断したのでしょう。

ツバメの造巣行動について私は本で読んだ知識しか無くて、未だ実際に観察できていません。
現場は滅多に行かない地域のため、定点観察に通えませんでした。
試しにGoogleのストリートビューで現地を視察してみると、驚いたことに全く同じ状態でツバメの泥巣が残っていました。
撮影日は2019年8月とのことでした。
したがって、今季に作りかけた巣ではなく、もっと古いことが分かりました。
ツバメは巣がカラスなどの天敵に襲われないように、人通りの多い家屋の軒下などをわざわざ選んで造巣します。
しかし最近では家屋の壁面や軒下がツルツルした建材で作られていることが多く、ツバメは泥巣を作りにくくなっているそうです。
また、ツバメの雛による糞害を嫌ったり家屋の景観を損ねる(見苦しい)という理由でツバメの巣がすぐに撤去されがちです。
そんな世知辛い世の中ですけど、未完の古巣も撤去せずにそのまま残しているとは、心優しい家主さんですね。
いつかここに営巣してくれるツバメが再び現れるのを待っているのでしょう。
あるいは逆の可能性として、未完の巣ではなく、使われなくなった古巣の上半分が崩落した後の状態なのかもしれません。

最近見た「タモリ倶楽部」では、新型コロナ禍のせいでロケに行けないステイ・ホーム期間中の苦肉の策として、Googleのストリートビューを使った「オンライン撮り鉄」という高度な遊びを紹介していました。
鉄道を走る列車が偶然に写り込んだ地点を探すという斬新な企画です。
同様に、Googleのストリートビューを使って野鳥の巣を探すというのも新しいバードウォッチングの形(一種のラインセンサス法)かもしれません。
ツバメやスズメ、カラスなど身近な野鳥の巣だったらストリートビューに偶然写り込んでいる可能性が高いはずです。
オンラインの仮想旅行も兼ねて、沿道の軒下や街路樹、電柱や鉄塔の上などを丹念に探してみては、いかがでしょうか。




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