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2020/07/30

オドリコソウの花で盗蜜するクロマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】



2020年5月中旬・午後17:45〜18:00頃・晴れ

用水路沿いの土手に咲いたオドリコソウの群落でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が何匹も訪花していました。
大型の個体ですし、時期的にワーカー♀ではなく創設女王だと思います。
複数個体を撮影しても後脚の花粉籠は空荷でした。
もしやと思い、訪花シーンの口元をよく観察すると盗蜜していました。
シソ科の花は唇形花と呼ばれ、複雑な形状をしています。
クロマルハナバチ♀は花筒の外側から根元に口吻をグサッと突き刺して穿孔盗蜜していました。
雄しべに体が全く触れませんから、花粉を集めることはありませんし、オドリコソウの授粉を助けません。
開花前の蕾からもお構いなしに盗蜜することがありました。(@x:xx)
胸背に黄色い花粉が付着した個体も盗蜜しています。
オドリコソウの花筒の根元に盗蜜痕が見えます(穴だらけ)。

春に咲くオドリコソウの花から盗蜜するハチがいることを本で読んで知っていたのですが、ようやく実例を動画で記録できました。
私が以前に見たオドリコソウの群落は花に盗蜜痕があるのに、舌の長いトラマルハナバチ♀が正当訪花しているだけでした。(盗蜜者の正体が不明だったのです。)

▼関連記事(6年前の撮影)
オドリコソウの花蜜を吸うトラマルハナバチ♀
悲願のミッシングリンクがようやく撮れて感無量です。

例えば、田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でオドリコソウを調べると

笠をかぶり手に扇を持って舞う姿にたとえられる花。笠の下には雄しべ雌しべの先が隠れている。花の形にぴたりと合うのはマルハナバチ類で、蜜を吸うためにはい込むと背が雄しべ雌しべに触れ、花粉で白く染まった状態で出てくる。より大きく口の短いクマバチは、花の背後に鋭い顎で穴を開けて蜜を吸うため、花粉は媒介しない。(クマバチは)花に馬乗りになって筒部に口を差しこみ、蜜を盗む。
花の底に蜜があり、笠の下には雄しべ雌しべがある。(p11より引用)


本書でオドリコソウの送粉者の例としてコマルハナバチを挙げています。
私はコマルハナバチによる正当訪花シーンは未見です。
本書で記述されたクマバチによる盗蜜行動と今回のクロマルハナバチによる盗蜜行動は細かい点で違います。
(今回のクロマルハナバチ♀はオドリコソウの花に馬乗りになっていません。)


クロマルハナバチ♀がオドリコソウの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:33〜4:31)
盗蜜中は羽ばたきを止めています。
次に来るだろうと予想した株を狙って撮り始めると、オドリコソウの花への着陸シーンが撮れました。
2匹のクロマルハナバチ女王が同じ株でニアミスすることがありました。(@2:50)

ちなみに、ピッキオ編『花のおもしろフィールド図鑑 春』でオドリコソウを調べると、

花のつけ根には蜜がたまっていてこれで昆虫をおびき寄せています。人間が花を取って吸ってみても甘いので、野山でおなかがすいたら試してみてはいかがでしょう。意外といける味にくせになること請け合いです。(中略)オドリコソウは日本在来の植物です。
白色の花は東日本に多く、西日本ではピンク色の花が多い。(p125より引用)


ここは東日本なのに、今回の群落では白い花もピンクの花も両方咲いていました。
私も真似してオドリコソウの花から盗蜜してみたくなりました。



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