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2018/09/04

雛に虫や木の実を給餌し糞を巣外に捨てるコムクドリ♀(野鳥)



2018年6月中旬・午後16:24〜16:35


▼前回の記事
カエデ樹洞の巣に通って雛に給餌するコムクドリ♂(野鳥)

採餌から帰ってきたコムクドリSturnus philippensis)の親鳥♀が営巣木の近くの電線に止まりました。
コムクドリの成鳥は頬の色の有無で性別が見分けられるので、観察しやすくて助かります。
嘴に咥えていた獲物はカメムシでした。
臭気を発して身を守るカメムシの作戦はコムクドリ♀に対して効き目がなかったようです。


親鳥♀がジーッ♪と繰り返し鳴き続けているのは、私に対する警戒声なのでしょう。
巣で待つ雛に「ただいま、今帰るよ」と帰巣を知らせているのかな?
獲物を咥えながらでも鳴けるようです。(もしかして、鳴いているのは近くで見張る別個体の親鳥♂?)
電線からカエデ(イロハモミジ?)老木の枝を伝い下りて樹洞に近づくと、巣内から餌乞いする雛の騒々しい鳴き声が聞こえてきます。
給餌を済ませた親鳥♀は出巣すると再びすぐ横の電線に止まりました
ジーッ♪と警戒声を発した後、ジジジ♪と鳴きながら白っぽい糞のカプセルを口から吐き出しました。(@0:58)
豆のように見えたのですが、これはおそらく雛鳥が排泄した糞を捨てたのでしょう。(排糞行動)※ペリットを吐き出した可能性は?
コムクドリ♀はすぐに次の採餌へ飛んで行きました。

次に帰巣したとき、親鳥♀は何か虫を運んできたようです。
親鳥♀がカエデの横枝を伝って樹洞に飛び込む決定的瞬間が横から撮れて、ようやく巣の位置が判明しました。
巣内で雛の餌乞い♪が賑やかに聞こえてきます。
巣がある樹洞を正面から狙って撮りたくても、親鳥の警戒心が強くて下手に近づけない上に、カエデの木が生えている私有地に勝手に入る訳にはいきません。
少し離れた公道から撮るとなると、どうしてもアングルは限定されてしまいます。

その次に帰巣した親鳥♀は、嘴に何か赤くて丸い木の実を咥えてきました。
コムクドリはソメイヨシノなど桜の赤い果実を好んで雛に与えることが知られているので(‡追記参照)、おそらくそれでしょう。
電線から電線へ飛び移り、辺りの様子を見ながら少しずつ巣に接近します。
帰巣のタイミングを伺いながら、親鳥♀は脱糞しました(@2:13)。

給餌に通う親鳥の性別によって動画やブログ記事を分けましたが、実際には交互に巣へ通って(♂→♀→♂→♀→♀)給餌していました。
巣に出入りする前後にジュー、ジュー♪と警戒声を発し続けているのは、しつこく撮影する私に対してだけでなく、近所をうろついている飼い猫も警戒しているようです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
コムクドリ営巣地のプライバシー保護のため周囲に一部モザイクをかけました。

つづく→



‡【追記】
山本明『コムクドリの子育てとサクラの実』によると、

・木の幹や枝にある穴を「うろ」といいます。コムクドリは、木のうろに巣をつくる鳥です
・ヒナが巣立った後の巣箱の中には、サクラの種子がたくさん残されていました。コムクドリはヒナも親もサクラのような実を食べると、外側の柔らかい部分(果肉)だけを消化して、内側の堅い部分(種子=たね)は30分以内に吐き出します。
・コムクドリは虫などもよく食べますが、雑食性の鳥であることが確認されました。
(上越鳥の会『雪国上越の鳥を見つめて』p21-24より引用)



【追記2】
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によると、毒のある果実の一例としてソメイヨシノ(バラ科)が挙げられていて驚きました。
実は6月頃に熟すが、青酸配糖体(アミグダリン)を含む。完熟すると毒が消えるのか、ムクドリなどには相当食べられている。(中略)ソメイヨシノの果実を食べて死ぬムクドリ(ほとんどが、その年生まれの若鳥)もよくあります。 (p164より引用)



【追記3】
吉川徹朗『フィールドの生物学25:揺れうごく鳥と樹々のつながり』を読むと、毒性の有無は簡単に決めつけられないと知りました。
アミグダリンという有毒物質はある種の液果に含まれている。これは哺乳類に対して有害であるが、北米のヒメレンジャクという鳥はなぜかその液果をたくさん食べる。採餌実験をおこなった研究では、ヒメレンジャクはアミグダリンを忌避せず、大量に摂取しても何も影響が見られなかったという。この事例が示すように、植物の毒素への感受性は動物の分類群によって大きく異なる可能性があり、鳥に対する影響を人間や哺乳類に対する毒性だけからは判断できない部分もある。(中略)毒に対する生き物の耐性はまだまだわからないことだらけだ  (p207-208より引用)




【追記4】 

ブルーバックス・シリーズの本『植物たちの戦争:病原体との5億年サバイバルレース』を読んでいたら、物騒なアミグダリンには植物が身を守る化学兵器という別の機能があることを知り、感動しました。

多くのバラ科植物に含まれる配糖体、アミグダリンは病原菌の侵入を受けると加水分解されて青酸を生じるポストインヒビチン(しぐま註:攻撃後に、簡単な化学変化を起こして合成される低分子の抗菌性物質)です。アミグダリンの場合、青酸が菌に毒性を示すと考えられています。(第3章「植物はどうやって病気から自らの身を守るのか」より引用)

コムクドリ♀(野鳥)@電線+餌運搬(カメムシ)
コムクドリ♀(野鳥)@カエデ樹上+餌運搬(桜の果実?)
コムクドリ♀(野鳥)@電線+出巣排糞後
近くをうろつくイエネコ


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