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2017/08/05

ぎこちない動きのイチモンジチョウ終齢幼虫



2017年5月中旬

イチモンジチョウの飼育記録#4


さて、これまで紹介した記録映像をご覧になった方は何かおかしな動きにお気づきになられましたでしょうか?
1匹だけ飼育しているイチモンジチョウLimenitis camilla)終齢幼虫の蠕動運動による前進がぎこちないことに私は違和感を覚えました。
ピクッピクッとぎこちないリズムでギクシャクしながら前進します。
Uターンしようとする動きもぎこちない。
室温も別に低くはありませんでした。

この個体だけの運動異常なのか、それとも本種の幼虫に特有な動き方なのですかね?

卵から孵化した直後からこういうぎこちない前進運動なのか、多頭飼育で確かめたいところです。
幼虫の体の緑色は食樹植物の上では保護色ですし、例えば捕食者に見つかりにくいなど適応的な動きなのかな?
私はカメレオンのゆっくりとしたぎこちない歩行を連想しました。(前後に体を揺らしながらギクシャクと「三歩進んで二歩下がる」ときもある)
10年前に飼育した個体の映像を見直してもこんな変な動き方ではありませんでしたが、当時のフィールドノートには「前進シーンもおっとりしている」という謎の記述がありました。

▼関連記事(口元にクローズアップしているため正直言って全身の動きはよく分かりません)
イチモンジチョウ終齢幼虫の食事

撮影時の私は体内寄生を強く疑いました。

▼関連記事
イチモンジチョウ幼虫と寄生蜂の繭
ところが後日、無事に成虫が羽化したので、ますます原因が分からなくなりました。
たまたま幼虫期に運動神経や筋肉に軽い異常を来した変異個体だったのでしょうか?

タニウツギが幼虫に食べられないように毒を葉に溜め込むようになったとか?(中毒症状)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#5:タニウツギ蕾の萼を食すイチモンジチョウ終齢幼虫



【追記】
古い図鑑ですが、保育社『原色日本蝶類生態図鑑(II)1983』を紐解いてイチモンジチョウの項目を参照すると、答えがしっかり書いてありました。
決して異常な症例ではないと分かり、すっきりしました。
幼虫の歩き方はミスジチョウ類ともよく似ており、緩急のリズムを伴ったごくゆっくりしたものである。(p134-135より引用)


この独特な動きがもし対捕食者戦略として進化したのなら、その有効性(適応)を実証した上で、エボデボの切り口で調べる価値があるかもしれません。

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