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2016/12/31

網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)



2016年9月上旬
▼前回の記事
交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?


イヌタデを糸で綴った隠れ家に潜んでいるアカオニグモ♀♂(Araneus pinguis)が本当に食欲が無いのか確かめるために、近くで採集したアキアカネ♀(Sympetrum frequens)を給餌してみました。
なぜか昆虫の数がひどく少なくなっていて、捕虫網を持参しなかった私は生け捕りにするのに苦労しました。
(コオロギの幼虫、キタキチョウには逃げられました。)
もしかすると近くの水田で農薬散布された影響かもしれない、と疑ってしまいます。(未確認)




暴れすぎて網を壊したり逃げたりしないようにアキアカネ♀の前翅を半分毟り取っておきます。
垂直円網に付けた瞬間、トンボは擬死状態になり(死んだふり)、隠れ家のクモも無反応でした。
しばらくして網で獲物が暴れた途端に隠れ家からアカオニグモ♀が駆けつけました。
その一方で、近くに居たアカオニグモ♂は無反応でした。
交接前ガード中の♂はもう食欲が無いのでしょう。
先ほど試しに給餌してみたムラサキツメクサの花が未だ網に付着したままぶら下がっています。

アカオニグモ♀は必死に暴れる獲物に噛み付き、毒液を注入しました。
アカオニグモ♀の腹背は薄い黄色で(未だ赤くない)腹面の外雌器に垂体が残っているので、性的に未成熟な亜成体だろうと判明。
獲物が麻痺すると、未だ少し暴れるのも構わずにアカオニグモ♀は捕帯でラッピングを開始。
次に、網に付着したトンボの翅の周囲の糸を噛み切っています。
網のこしきを経由して、隠れ家に素早く獲物を持ち帰りました。
糸で吊り下げた獲物を引き上げ、捕食開始。
♀に食欲があるということは、脱皮するにはまだ早いということになります。

その間、アカオニグモ♂に全く動きはありませんでした。
♀が捕食中なら性的共食いのリスクを避けつつ♂は忍び寄って♀と交接するかな?と期待したのですが、♂は無反応でした。
♀が脱皮して成体になるまで♂は傍らでひたすら絶食・待機するのでしょう。

クモにずっと無視されていたムラサキツメクサの花はいつの間にか網から落ちていました。
自然に落ちたのか、それともクモが網から外して捨てたのか、見落としてしまいました。

※ 後半だけ(@4.13〜)動画編集時に自動色調補正を施しています。

ここまでが、アカオニグモ♀♂を見つけた初日の観察記録でした。

つづく



巣口周辺の雑草を避けて飛ぶクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2016年7月上旬・午後12:40〜13:12


▼前回の記事
クロマルハナバチのコロニーの活動【HD動画&ハイスピード動画】

クロマルハナバチの巣:定点観察#7


クロマルハナバチBombus ignitus)の営巣地を9日ぶりに再訪。
梅雨の長雨が降っても排水口内の巣が浸水することなく、無事で良かったです。

側溝に繁茂した雑草(ハナタデ??)が伸びて巣穴をすっかり覆い隠していました。
出入りする蜂が邪魔な草を刈って(噛み切って)飛行ルートを整備するかと予想していましたが、いまのところ雑草は放置しているようです。
コンクリート土留の上から垂れ下がっているヨモギの枯れ茎がちょうど巣穴の位置の目印になっています。

蜂の羽音を録音するために、初めは通常のHD動画で撮影しました。
動画編集時に音量を最大にしました。

後半はいつものように240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮影。(@2:02〜)
外役から帰巣したワーカー♀は雑草の手前で減速ホバリング(停空飛翔)し、蛇行しながら飛んで入巣します。
このとき羽ばたきの風に煽られて巣口の草がなびいています。
定位飛行を逆再生した映像と似ているかもしれません。
出巣の際も巣口に生えた雑草が邪魔で蜂はまっすぐに飛び出せずに苦労しています。
空荷で帰巣する個体もいれば、白い(薄い橙色?)花粉団子をせっせと搬入している個体もいます。

この巣がクロマルハナバチなのかコマルハナバチかでずっと迷っていました。
梅雨入りしてもコロニーが活動しているので、コマルハナバチではなさそうです。
コマルハナバチにしては大型の個体も出入りしていました。
個体数もかなり増えたようで、短時間で撮れ高は充分になりました。
蜂にマーキングして個体識別しないとコロニーの規模(個体数)は分かりません。
長撮りしていると2匹の蜂が連続して帰巣および出巣することがあったので、少なくとも2匹の外役ワーカーがいることが分かります。

つづく→#8:フキバッタの幼虫を捕食するニホンカナヘビ【ハイスピード動画】



イラガ(蛾)幼虫同士の喧嘩



2016年9月上旬
▼前回の記事
ハンノキで見つけたイラガ(蛾)の幼虫


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-2


採集してきたイラガMonema flavescens)の幼虫5頭を飼育するために、カキノキの葉を枝ごと切って与えてみました。
食樹植物をハンノキから入手し易いカキノキに突然変えたので、幼虫は少し戸惑っているようです。
 3頭は活発に徘徊しています。

互いに出会うと体を横に激しく振って威嚇しています。
小競り合いがエスカレートして、口器で噛み付き合うこともありました。
防御としては頭部をフード(正式名称は?)の中に引っ込めて隠します。
大小2頭の幼虫が出会い頭に小競り合いを始め、最後にキスをして終わるのがダチョウ倶楽部のお約束を見ているようで思わず笑ってしまいました。

イラガ幼虫を高密度の条件で飼育すると、見るからに苛々イライラしてストレスが多そうです。
一連の排斥行動の結果として、分散が促進されるのでしょう。
棘だらけのイラガ幼虫の喧嘩を見ていると、「ヤマアラシのジレンマ」を連想しました。
幼虫の毒毛はあくまでも捕食者(天敵)に対するもので、同種には危害を及ぼさない(効果がない)と思うのですが、どうでしょうか。(調べた人はいるのかな?)

つまり、幼虫同士が触れると互いに激痛を感じているのでしょうか?
幼虫の目ははっきり見えていなくても、毛にはアンテナのような感覚器としての働きもあるはずで、互いに接触を回避する方向に動きます。

夜の内にイラガの幼虫は互いに離れて別々のカキノキの葉に分散して落ち着きを取り戻しました。
大食漢ですから、各自が縄張りのように餌資源を確保しなければいけません。
1頭がカキノキの葉に食いついてくれたのを見届けて一安心。


※ 採集当日および翌日に撮った映像から闘争シーンをまとめました。
動画編集時に自動色調補正を施しています。


一方、残る2頭は採集容器内で静止していました。
不活発な個体は眠なのかと思っていたら案の定、翌朝になると一頭が脱皮していました。
脱皮の瞬間は見逃しましたが、また次のチャンスがあるでしょう。
その後いつの間にか自分の抜け殻を硬い頭楯だけ残して完食していました。



背景は1mm方眼紙
赤っぽい脱皮殻(抜け殻)


つづく→#3:ミズナラの葉を蚕食するイラガ(蛾)幼虫【60倍速映像】



2016/12/30

トビイロケアリ♀の蟻道



2016年9月上旬
▼前回の記事
蟻道を往来し幼虫や蛹を運ぶトビイロケアリ♀

39日ぶりにトビイロケアリLasius japonicus)の営巣地を観察しました。
峠道の法面を補強するコンクリートの土留に蟻道が作られており、壁面の排水口と下の側溝を縦に結んでいます。
ワーカー♀が蟻道の中を上下に往来しています。
前回とは違い、幼虫や蛹を運ぶ姿は見ていません。
意外なことに、前回もあった蟻道の不連続部分は修復されていませんでした。
素材が脆くて頻繁に壊れてしまうのですかね?
もし私が蟻道を壊したらトビイロケアリは慌てて修復するのかどうか、撮影してみたいテーマはあったのですが、他のことで忙しくてカメラ一台では手が回りませんでした。



脱皮殻を食べるウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】



2016年9月中旬・午後23:07〜午前00:31・室温24.7℃→23.7℃
▼前回の記事
ウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の最終脱皮【60倍速映像】

ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#8


脱皮したウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の終齢幼虫はしばらくすると、白い薄皮のような脱皮殻(抜け殻)を貪欲に食べ始めました。
これは前回の脱皮でも見られたことです。
硬い頭楯の抜け殻にも口を付けたのですが、噛めないまま徘徊開始。
死角に隠れてしまったため、頭楯の抜け殻を食べ切れたのか不明です。
抜け殻を完食する前にその場を離れ、葉縁に向かいました。
そのままミズナラの葉を食べ始めるのかと思いきや、葉を支えていた器材を登り始めました。
ピンセットで摘み上げてミズナラの葉に戻してやると、朝まで休息していました。





【おまけの映像】
早回し速度を落としたオリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。


つづく→#9:ウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫とイラガ幼虫の小競り合い・威嚇


2016/12/29

ナガボノシロワレモコウの花蜜を吸うコアシナガバチ♂



2016年9月中旬

線路沿いに咲いたナガボノシロワレモコウの群落でコアシナガバチ♂(Polistes snelleni)が訪花していました。
同じ群落で花から花へ忙しなく飛び回ってから、ようやく一つの花穂に落ち着きました。
ハナバチがやる回転集紛のように、花穂を回りながら花蜜を舐めています。
顔が白く触角の先がカールしているのがアシナガバチ類の雄蜂の特徴です。
吸蜜を済ませると、近くに生えたススキの葉に移動して、時間をかけて身繕いしていました。
体に付着したナガボノシロワレモコウの花粉を落としているのでしょうか。

▼関連記事
ナガボノシロワレモコウの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀

風媒花とされているヘラオオバコも実は蜜腺をもつ虫媒花ではないか?という疑惑がこれでますます強まりました。
詳しくはこちらのまとめ記事(リンク集)をご覧下さい。



【追記】
私は初めこの花をヘラオオバコかと思い込んでいたのですが、訂正しておきます。


ウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の最終脱皮【60倍速映像】



2016年9月中旬・午後21:00頃?・室温25.7℃、湿度56%
▼前回の記事
ウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫の口元を隠す食事マナー


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#7


前回の脱皮から5日後、ウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の亜終齢幼虫が再び脱皮しました。

ミズナラの葉裏で眠状態だった幼虫が自発的に蠕動(左右にローリング)するのを午後14:40に目撃しました。
午後20:38に体表の変色に気づき、慌てて微速度撮影を開始。
体の前半部が白っぽく見えたのです。
脱皮の一部始終を微速度撮影で記録できたので、60倍速の早回し映像をご覧下さい。
一気に脱皮した幼虫の体色は黄緑色のままで、変化ありませんでした。
白い薄皮を脱ぐと脱皮殻の傍らで一休み。
体を降らませ、不規則な蠕動運動をしています。

普段はフードに隠れて見えない頭部もこのときだけはよく見えます。
気管の抜け殻も白い糸のように長く伸びています。
午後21:23時点の室温は22.8℃、湿度62%。

今回の脱皮時刻は前回と違い、夜でした。
ただし、室内飼育で撮影のために照明を当て続けていたので、幼虫の日周リズムや体内時計が狂ってしまった可能性があります。

これで終齢幼虫になったことが後に判明します。

『イモムシハンドブック2』によると、ウスムラサキイラガの齢数は不明で、年二化、前蛹越冬らしい、とのことでした。

つづく→#8:脱皮殻を食べるウスムラサキイラガ(蛾)終齢幼虫【60倍速映像】


亜終齢幼虫の眠:脱皮直前
脱皮直後の終齢幼虫




【おまけの動画】
早回し速度を落とした10倍速映像をブログ限定で公開します。


2016/12/28

交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?



2016年9月上旬・午後16:07〜16:09

▼前回の記事
アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード

造網性クモが花を食べるという再現性に乏しい奇妙な食性がずっと気になっていて、機会がある度に調べています。

▼まとめ記事(リンク集)
花を食べる造網性クモの謎
営巣地の近くに咲いていたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の花を採取してアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網に投げつけてみました。
1投目は花が網を素通りしてしまい、失敗です。
網が揺れたのに隠れ家に潜むクモは♀♂共に無反応でした。
(映像はここから)

2投目で花が網に付着しました。
それでも意外なことに、隠れ家(画面左のイヌタデ)のクモは♀♂共に無視したままです。

そこで花に振動を与えるために、音叉を鳴らして花や網に触れてみました。
この振動数(A-440Hz)は網にかかった昆虫が暴れる羽ばたきとほぼ同じらしく、クモを騙せることが知られています。
ところが繰り返しやっても今回のクモは無反応でした。
♀を交接前ガードしているだけの♂成体の食欲が無いのは当然というかよく分かります。
しかし、♀は色気より食い気なのが普通です。
つい先程、隠れ家の♀が歩脚の先で網から伸びる信号糸に触れていることを確認したばかりです。
網にかかった花や音叉の振動を気づいているはずなのに、無反応なのは不思議です。
食欲がなくても網にかかった異物を取り除くために隠れ家から出てきても良さそうなものです。
♀は脱皮前の眠なのかな?

後で思うと、もう少し小さな花を給餌していれば結果は変わっていたかもしれません。
巨大な虫が網にかかったのかと思い、アカオニグモはすっかり怖がってしまったのかな?
以前、造網性クモが食べてくれたアメリカセンダングサの花は未だ咲いていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

しつこい私はそれでも懲りずに、生きた昆虫を網に給餌してみることにしました。


つづく→網に給餌したアキアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)





ウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫の口元を隠す食事マナー



2016年9月上旬
▼前回の記事
ミズナラの葉を蚕食し脱糞するウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫【100倍速映像】


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#6


ウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の亜終齢幼虫ミズナラの葉を食害する様子を接写してみました。
まず初めは、10倍速の早回し映像をご覧下さい。
幼虫は常に葉の裏面に居て、摂食中は葉縁に体を少し乗り出しています。
食休みの際は少し移動して葉裏に完全に隠れました。
体色が黄緑色なので、濃い緑色の葉表よりも葉裏に居る方が目立たないのでしょう。
撮影中は強い照明(USBリングライト)を当てているので葉裏でも幼虫を見分けられますけど、消灯すると本当に目立たなくなります。
撮影のためにミズナラ葉の裏面を上に向けていても幼虫は葉裏に留まります。
つまり単純な重力走性ではなく、あくまでも葉の表裏を匂いや味、色などで区別しているのでしょう。
ウスムラサキイラガ幼虫を強制的にミズナラの葉表に移したときに、慌てて葉裏へ移動するかどうか確かめればよかったですね。

後半(@2:04-)は微速度撮影から通常のHD動画に切り替えました(以降は動画編集時に自動色調補正を施しています)。
口元の動きを観察したくて葉表から狙うと、葉縁から幼虫の頭部が少しだけ覗いています。
幼虫が葉脈を断ち切る音がかすかに聞こえます。

イラガの仲間の幼虫は胸部から前方に張り出したフードで頭部が完全に覆われてるため、口器の動きが隠されて全く見えません。
(このフードの正式名称は?)
常に口元を隠して食べるお上品な食事マナーと言えるかもしれません。
イラガ科の幼虫に特有なこのフードの意味や目的は何でしょうか?
食樹植物の噛み跡から放出される揮発性物質を抑えて、寄生蜂を誘引しないようにするためでしょうか?(その程度で抑制効果があるのか?)
天敵の捕食者は動きで獲物を目ざとく見つけるので、摂食中によく動く頭部全体をフードで隠してしまえば、狙われるリスクを減らせるのかもしれません。

つづく→#7:ウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の最終脱皮【60倍速映像】



2016/12/27

側溝の縁を移動するキセルガイ【10倍速映像】



2016年9月上旬・午後15:04〜15:24
▼前回の記事
キセルガイの徘徊と交尾行動?【10倍速映像】

山中のコンクリート壁面で3匹見つけたキセルガイの一種のうち、単独行動している個体に次は注目しました。
コンクリート壁を覆っていた雑草を私が取り払ったので、キセルガイは直射日光と乾燥を嫌って一目散に壁を下りたのです。
苔むした側溝の縁に達すると、今度は右へ右へと移動して行きます。
重そうな殻をぐいぐい引きずって歩きます。
後半は微速度撮影に切り替えたので、10倍速の早回し映像をご覧下さい(@1:09〜)。
途中から、大きさの比較として一円玉(直径20mm)を横に並べています。
最後に静止した場所は近くに苔が生えていて、湿気や餌があるのでしょう。
長距離移動で疲れてしまったのかな?

キセルガイの飼育にも興味があるのですけど、この時期は他にも色々と手を広げ過ぎてしまい、余力がなくて採集を断念しました。

実はこの日、コンクリート壁面の穴に営巣したクロマルハナバチの巣を発掘しました。
排水口から掘り出した土砂に混じってヒダリマキマイマイ(成貝)およびキセルガイの幼体(稚貝)を一匹ずつ見つけました。


【追記】 私の記憶違いでした。ヒダリマキマイマイは別日に(8日前)クロマルハナバチが営巣していた穴の中から発見。
排水口にたまたま迷い込んだだけかもしれませんが、分解者である蝸牛やキセルガイが栄養価の高いマルハナバチの古巣に誘引されたのだとすれば面白いなと思いました。



ニホンハッカの花蜜を吸うミカドトックリバチ



2016年9月中旬

湿地帯に近い道端に咲いたニホンハッカの群落でミカドトックリバチEumenes micado)が訪花していました。
性別は?
私がこの辺りで見かけるミカドトックリバチは腹部上部の側面に黄紋(黄色い点)がいつも無いのですけど、個体変異なのですかね?(別種の可能性は?)※追記参照
花の上に潜んで待ち伏せしていたカニグモ科のクモとニアミスするも、体格で劣るクモは蜂を狩るどころか迷惑そうでした。

吸蜜の合間に蜂は近くに生えたツルマメの葉に止まって翅を休め、身繕いしています。



※【追記】
虫Navi掲示板にて問い合わせたところ、tsukiさんより以下の回答を頂きました。これで一安心。
写真のミカドトックリバチですが季節によっても斑紋の大小に変異があるようですので大丈夫かと思います。


2016/12/26

キセルガイの徘徊と交尾行動?【10倍速映像】



2016年9月上旬・午後14:40〜15:13

峠道の法面を補強するコンクリートの土留でマルハナバチの営巣地を定点観察するついでにキセルガイの一種を見つけました。
道端の側溝に繁茂する下草をかき分けたら、3匹のキセルガイが壁面に付着していたのです。
コンクリートの石灰分を好むのでしょうか?
現場の標高は645mで、コンクリート壁面は北東を向いています。
直射日光と乾燥を嫌ったキセルガイが下に向かってゆっくり移動を始めたので、微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
愛機FZ300のジオラマモードで微速度撮影すると、チルトシフト効果でミニチュアの玩具のようなコミカルな動きになります。

3匹のうち、行動を共にしている2匹に注目しました。
個体bはaの細長い殻にしがみついていました。
aはbを背負ったまま左斜め下へ移動して行きます。
2匹分の重力がかかるために、cよりも移動速度が速いです。
abが這った軌跡には粘液で濡れた線が斜めに残りました。

後半は通常のHD動画に切り替えてリアルタイムの動きを記録してみます。(@2:07〜)
実際の動きも結構速いことがお分かり頂けるでしょう。
左斜め下に向かってひたすら移動を続けています。
この2匹は交尾中なのですかね?
キセルガイを観察するのがなにしろ初めてなので、その生態についてまるで疎いのです。
キセルガイの種類も見分けられませんが、2匹ともほぼ同サイズの成貝でした。
殻は左巻きです。
キセルガイもカタツムリと同様に雌雄同体らしいのですが、その交尾はヒダリマキマイマイ(蝸牛)の交尾と似ているのでしょうか? (※追記参照)
交尾中のカタツムリで見られるはずの恋矢やペニスは今回見ていません。(見逃した?)
微速度撮影よりも、キセルガイの接触部分を接写すべきでした。

互いに殻同士が引っかかって追い越せないだけのような気もしてきました。
おんぶしているように見えるときも、ヒッチハイクのように只乗りしているだけかもしれません。
2匹が同じ方向に進んでいるので、いつまで経っても離れません。
下の個体が壁面を離れ上の個体の殻を這い始めました。
2匹分の体重を支えつつ力強く移動。

最後は側溝の縁に達して落ち着きました。
適度な湿り気のある場所を好むのでしょう。

つづく→3匹目の動向

【参考ブログ】

キセルガイ
・みんな、あいしてる:キセルガイさんたちの結婚?

高尾山国有林巡視日誌(47)
・北のフィールドノート:エゾコギセル (キセルガイ)の交尾
・かたつむりが好き:今日の煙管貝



※【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
陸にすむキセルガイの仲間は、むしろ左巻きが多いという特徴があります。細長い殻をもつキセルガイの交尾は、平べったい殻をしたカタツムリの交尾とは異なり、お互いに向き合わず、同じ向きで交尾します。そのため、巻き方が異なっても交尾をするための構造上の問題が生じず、左巻きのものが増えていくという進化が比較的起こりやすいと考えられています。 (p57より引用)


雑草に覆われた側溝を見下ろす。奥がコンクリートの壁
除草すると壁面に3匹のキセルガイが現れた。
一円玉(直径20mm)を並べる

クロマルハナバチのコロニーの活動【HD動画&ハイスピード動画】



2016年6月下旬・午後14:59〜15:33

クロマルハナバチの巣:定点観察#6

▼前回の記事 
クロマルハナバチ♀の帰巣と出巣【HD動画&ハイスピード動画】

峠道沿いのコンクリート土留の排水口に営巣したクロマルハナバチBombus ignitus)のコロニーを12日ぶりに見に行きました。
梅雨の大雨でも排水口内の巣が流されていなくて一安心。
下の側溝に雑草が繁茂し始め、巣穴の一つ隣の排水口はアカソの群落で隠れていました。
撮影に邪魔になったら草刈りが必要かもしれません。
スズメバチやアシナガバチのように、クロマルハナバチも巣穴周囲で飛行経路の邪魔になる雑草を自ら噛み切る可能性はあるのでしょうか?


いつものように巣穴の手前に三脚を立てて、飛び交うワーカー♀を動画に記録します。
通常のHD動画では一瞬の出来事です。
すぐに240-fpsのハイスピード動画に切り替え、スローモーションで記録します。(@0:05〜)
帰巣する蜂の中には空荷で戻る個体もいれば、後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けて巣に搬入する個体もいます。
個体識別はしていませんが、3匹連続で帰巣したので、このコロニーには少なくとも3匹のワーカー♀が羽化済みであることが分かりました。
出巣の直後に加速して飛び去る様子が録画されていました。
また別の個体では、出巣直後に巣口に生えた草の葉に掠って空中で体勢を乱す面白映像が撮れていました。

巣に出入りするワーカー♀の中に、コマルハナバチにしては大型の個体を目撃するようになりました。
クロマルハナバチだろうとようやく確信できたものの、今回は採集を見送りました。
平地で見かけるクロマルハナバチが山地よりも大型なのは、平地の方が蜜源の花が多く咲いていて栄養状態が良いためですかね?

つづく→#7:巣口周辺の雑草を避けて飛ぶクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



ハンノキで見つけたイラガ(蛾)の幼虫



2016年9月上旬


イラガ(蛾)の飼育記録#2016-1


湿地帯の近くに生えた若いハンノキの灌木でイラガMonema flavescens)の幼虫を3頭見つけました。
大小様々の個体で、おそらく齢数もまちまちなのでしょう。
互いに離れた葉の裏でじっとしていますが、葉に食痕が残されています。
いつ見てもイラガの幼虫はカラフルな配色で(警告色)、秀逸なデザインだな―と感心します。

飼育するために、素手で触れないように注意しながらいそいそと採集しました。
周囲に生えたハンノキ幼木も何本か見て回り、計5頭のイラガ幼虫を採集しました。
過去にも何度かイラガの飼育に挑んできたものの、なかなか生活史の全貌を見れていません。
特に、繭作りをなんとしても自分の目で観察してみたいのです。
イラガ幼虫を一頭だけ単独飼育するとなぜか営繭できずに死んでしまう個体がいるのです。
過去の反省を活かして、複数個体で飼育を始めます。
同時並行で飼育している同じイラガ科のウスムラサキイラガとの相違を比較するのも面白そうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#2:イラガ(蛾)幼虫同士の喧嘩


容器のサイズは8.0×17.5cm。

2016/12/25

晩に柱上変圧器で休むハシボソガラス(野鳥)



2016年8月上旬・午後19:07〜19:08

日没後の大通りで一羽のハシボソガラスCorvus corone)が電柱の柱上変圧器に着陸しました。
これはちょっと面白そうだと思い、動画に撮り始めました。
どうしてかというと、春にハクセキレイが柱上変圧器で暖を取りながら集団就塒するのを観察していたからです。

▼関連記事
電柱に塒入りするハクセキレイ♂の群れ(野鳥)
発熱して暖かいトランスの横でカラスも塒をとるのでしょうか?
しかし今は真夏ですから、暑くて逆に寝苦しい気がします。

私がアングルを変えつつ動画をしつこく撮っていたら、カラスは嫌がって飛んで逃げてしまいました。
がっかりして私も帰ったのですが、もしこの電柱を毎晩塒として使っているのなら、真下の歩道に糞が大量に落ちているはずですね。
この点をチェックすべきでした。

もしカラスに気づかれずに隠し撮りしていれば、どうなったでしょう?
おそらく私の考えすぎで、カラスの集団塒はどこか別な場所にあると思うのが自然でしょう。

ちなみにこの日の公式な日の入り時刻は午後18:40、月齢6.3。



アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード



2016年9月上旬

用水路近くの道端でアカオニグモAraneus pinguis)の垂直円網を見つけました。
昼間なのに造網済みで、網の作り主である♀はイヌタデの穂先を糸でゆるく綴り合わせた隠れ家(地上からの高さ70cm)に潜んでいました。
アカマンマとアカオニグモの組み合わせがちょっと面白く思いました。
よく見ると、♀は歩脚の先で信号糸に触れています。
網に獲物がかかればその振動をいち早く感知して駆けつけ、捕食するのです。

♀はおそらく最終脱皮前の亜成体なのでしょう。
♀のすぐ近くに小柄な♂も居ました。
♀♂ペアで居るアカオニグモを見たのは初めてです♪
♂の触肢がおそろしく複雑な形状に発達していることから、♂は成体であることが分かります。
この♂は、♀が脱皮して成体となり交接のチャンスが来るまでひたすら待っているのでしょう(交接前ガード)。
もしもう一匹のアカオニグモ♂が網に侵入したら、♂同士の争いが見られるはず。

定点観察に通って♀の脱皮からの求愛、交接を観察したいものです。
アカオニグモの交接は♀の網上で一瞬のうちに終わるらしいので、よほどの幸運に恵まれないと野外で観察するのは難しそうです。
オニグモ類を飼育するスキルが未だ私には無いので、採集して飼育に挑戦すべきかどうか悩みます…。


参考:『クモの親と子』p44〜57


『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p8によると

造網性クモ類では♂は成体になると、♀の網に寄生生活をするようになり、自分では餌をとれません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→交尾前ガード中のアカオニグモ♀♂(蜘蛛)の網にムラサキツメクサの花を給餌すると…?