ページ

2016/10/14

サトジガバチの交尾拒否?2016



2016年7月上旬

里山の峠道(標高〜400m地点)でジガバチの一種が交尾していました。
私が知らずに歩いていたら、蜂のカップルが驚いて道端に飛び退いたのです。

道端に堆積した枯葉(スギ)や枯れ草(ススキ?)の上で交尾を続けています。
体長を比べると♀>♂。
顔の白い♂は♀の背後からマウントしながら♀の首を咥えているように見えます。
腹部を互いに絡ませるものの、いつまで経っても交尾器を結合しないので、見ていてもどかしくなります。
♂が必死に交尾器を結合しようとしても、♀の腹端まで届かないのです。
ジガバチの交尾を見る度にいつもこの状態なのですけど、♀が♂を選り好みしたり交尾に非協力的で交尾拒否しているのでしょうか?
交尾器をしっかり連結した本当に交尾中のジガバチをなぜか今まで見たことがありません。
同種でない可能性もあるのかな?(生殖的隔離)

『狩蜂生態図鑑』p24によると、

サトジガバチの産卵に必要な交尾は1回だけで、一度交尾の済んだ♀にとって飛びかかってくる♂は邪魔なようで、中脚を上に伸ばして♂を防いでいる。



ジガバチ♀♂は途中から舗装路に出てきてくれました。
アリ(お邪魔虫)との遭遇を嫌ったのかもしれません?
歩き回る際の主導権はジガバチ♀が握っているようです。
マウントしたまま飛んで移動する様子は撮り損ねました。
タンデム飛翔は♀♂どちらが主導権を握っているのか、興味があります。
路上から再び道端の落ち葉の上へ移動しました。
アスファルトは熱いのかもしれません。
次は反対側の道端まで飛ぶと、ミズナラ幼木の葉表に移動しました。


▼関連記事
ジガバチの交尾拒否?2012年
ジガバチの交尾未遂
ミカドジガバチ?の交尾


交尾が成就するまで最後まで成り行きを見届けるべきか迷いましたが、♀♂ペアで入手できる機会は滅多にないので、採集を優先しました。
サトジガバチかヤマジガバチか、正確に同定するには標本を精査する必要があるのです。
ありあわせのビニール袋を一気に被せて一網打尽にしました。
袋内でしばらく暴れていたものの、ようやく♂が♀を手放しました。
ビニール袋はすぐに噛み破られるので、タッパーウェアに閉じ込めて持ち帰りました。

以下は標本写真。

しかし写真で記録するのが億劫で放置していたら、お恥ずかしいことにひどくカビが生えてしまいました。
我流の復旧措置として消毒用エタノールを染み込ませた綿棒で清浄してから接写しました。
まずは小柄で顔の白い♂の標本。


次は♀の標本です。



識別点である胸部の点刻や皺の状態を検討した結果、
採集地点は低山でしたが♀♂共にサトジガバチ(Ammophila sabulosa nipponica)だろうと判明しました。


0 件のコメント:

コメントを投稿