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2016/02/12

サルビアの花に潜り込むニホンミツバチ♀



2015年10月中旬

郊外の歩道を歩くと、街路樹の下にパッチ状の花壇があります。
この時期は真紅のサルビアの花が満開でした。
そこにニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が何匹も通って忙しなく訪花しています。
花筒の形状からして、穿孔盗蜜するのではないかと期待したのですが、どの個体も毎回律儀に正当訪花していました。
窮屈そうに花の奥に潜り込むと時間をかけて吸蜜しています。
中で方向転換するのは無理で、苦労して後ろ向きに抜け出ます。
サルビアは送粉者にミツバチを指名しているかのように、ミツバチの体に対して花筒の狭さが絶妙にフィットしています。
花筒から出ると少し身繕いしてから飛び立つシーンも撮れました。

サルビアの花の外に長い雄しべが伸びています。
花筒に潜り込むミツバチの体に葯が触れるようになっているようです。(※追記参照)
しかし、どの個体も後脚の花粉籠は空荷でした。

花期も終わりかけで、花粉はハナバチに採餌し尽くされ枯渇したのだと思います。

意外にも盗蜜する個体は居ませんでした。
クロマルハナバチやクマバチなど穿孔してくれる一次盗蜜者が居ないとミツバチは自力で盗蜜できないのかもしれません。(二次盗蜜者)

ミツバチは幾つか訪花しても吸蜜せず飛び去ることがありました。
花蜜が枯れていると判断したのでしょう。
花筒を覗きこむだけで蜜の多寡をミツバチはどうやって見分けているのか、不思議ですね。
蜜の匂いを嗅ぎ分けているのか、それとも最近訪花した蜂の残り香があるのでしょうか?

複数個体を撮影。



※【追記】
『マルハナバチの謎〈上巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記) 』p103に掲載された挿絵の解説が秀逸でした。
サルビアの花の断面。マルハナバチが花の中にはいり込むと、てこ仕掛けのおしべが、花粉をその背中にまぶしつける。


【追記2】
もっと洗練されたイラストがベルンド ハインリッチ『マルハナバチの経済学』という書籍(翻訳書)の図11.4に掲載されていました。
サルビアの花の送粉のしくみ。雄段階の花で雌ずいは持ち上げられていて、ハナバチと接触しない。昆虫が雄ずいのシャベル状の部分を基部にある可動部方向に押すと、二つの癒合した雄ずいが下方に動き、ハナバチの腹部に花粉をまぶす。ハナバチの腹部に付着した花粉は雌段階に達した花が雌ずいを湾曲させて拾いあげる。 (p189より引用)



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