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2015/10/03

スズメ(野鳥)の塒入り:雀のお宿はイワガラミの中



2015年7月下旬

スズメPasser montanus)がこの時期に毎晩利用するねぐらを見つけました。
家屋の北側が壁面緑化として蔓植物のイワガラミで覆われています。
この時期はイワガラミの白い装飾花が未だ咲いています。



日が暮れると近隣のスズメが次々に集まって来てイワガラミの茂みに飛び込むと、寝静まるまでしばらく賑やかに鳴いています。
確かにここなら天敵もなかなか登って来れず、夜も安全でしょう。
考え得る天敵はヘビぐらいでしょうか。
背後が建物の壁で守られている安心感もありそうです。

昼間に子育て(育雛)している巣は、また別の場所(家々の軒先や雨樋など)にあります。

夕方から壁の下に三脚を立てて無人カメラでスズメの集団就塒を動画に記録してみました。
カメラをブラインドに隠さないと野鳥は警戒して近づかないかな?と案じたものの、塒は高所のためか丸見えのカメラでも支障なかったようです。

さて、90分間(午後18:00〜19:30)も長撮りした映像をどのように料理するか迷いました。
映像素材を細かく編集して、イワガラミの茂みにスズメが飛び込む様子だけを見せるのも手です。
しかし私としては、何時に何羽のスズメが塒入りしたのかという全体的なパターンに興味があるので、ほぼノーカットの長編でお届けすることにしました。
不要な前後半だけをカットした約1時間(午後18:22〜19:24)の記録映像です。
皆様は適当に飛ばしたり早送りしたりしてご覧下さい。
一種のスローテレビ番組としても楽しめるかもしれません。

近所のスズメは塒入りする前に、壁の手前に聳え立つメタセコイアの梢に就塒前集合しているようです。
まだ明るい18:23頃から塒入りを開始しました。
初めの数羽が先陣を切ってイワガラミの茂みに飛び込みました。
茂みの手前で一瞬ホバリング(停空飛翔)する個体もいます。
一度塒入りした後で少し飛び回り、場所を変える個体もいます。
塒内で陣取り合戦が行われているのでしょうか?
メタセコイアに戻る個体もたまにいます。
スズメの激しい出入りに伴い、イワガラミの葉が落ちることもあります。
茂みの奥の蔓に止まっているスズメが時々ちらっと見えました。

塒入りしたスズメが増えるとともに、雀のお宿では鳴き声がチーチーパッパ♪と騒々しくなります。
スズメの鳴き声に負けじと蝉しぐれが聞こえます。
セミの種類はアブラゼミ♂と、途中からヒグラシ♂も参加したようです。

映像ではスズメの出入りが激しくて数えていませんが、計何羽の群れなのでしょうね?

監視動画に頼るよりも、現場でヒトが肉眼でカウントする方が良いでしょう。
近隣のスズメがほとんど集まって来ている印象です。

日没時刻(18:52)がほぼ塒入りのピークでした。
あまりにもきれいな相関に驚きました。
今後はデジタル照度計が欲しいところです。

暗くなってもしばらくスズメは鳴いていました。
ようやく寝静まりました。

次の課題として、夜に寝ているスズメの様子を赤外線の暗視動画でこっそり撮りたいのですが、塒は高所にあるため下からでは赤外線投光機も届きません。
特に興味があるのは、塒入りした集団が幼鳥なのか、成鳥も混じっているのかどうか見分けたいのです。
写真に撮るにしても強力なストロボが必要になりそうです。



wikipediaにて「スズメ」の項目を参照すると、

夏から秋にかけて、街路樹などに数十から数百羽が集まってねぐらを形成する。その年生まれの若鳥が多いとされるが[19]、若い個体だけでなく成鳥もまざっている。集まることで、体温の維持、翌日の餌場の探しやすさ、睡眠時の安全性の向上などの効果があると考えられている[20]。一方で、群れのねぐらに入らず個々の場所に定住する個体は成鳥が多いとされる[19]。

『スズメ百態面白帳』p135-139によると、

雀のお宿は繁華街。
環境の変化がなければ、集団就塒場は、だいたい毎年同じ時季には同じ場所に形成される。


『ネオン街に眠る鳥たち:夜鳥生態学入門』p53 「集団塒と単独塒」より
 スズメのお宿を調べてみると、夏から秋に街なかの繁華街などに大群が集結して形成される集団塒とは別に、人家周辺で静かに単独ないし数羽単位で夜を過ごす塒もあることがわかる。 
 前者は、その年に生まれた若鳥が大半を占め、各地を移動しながら初冬を前に消滅してしまう群生相である。後者は、その土地に縄張りを持っている成鳥であり、冬を越し、春には繁殖を行う定着相である。


季節としては夏から秋がほとんどであり、冬季まで継続して塒を利用しているのはまれであった。北方の都市ほど冬季の集団塒は少なく、塒に集まる数が少ない傾向も見られた。(同書p57より)




平野伸明『スズメのくらし (たくさんのふしぎ傑作集)』によると、
夕方、都会の街路樹に四方八方からスズメが集まってきて、ものすごい数になることがあります。スズメのねぐらです。一羽一羽よく見ると、ほおや体の羽毛の色が淡く、今年生まれた若鳥が多いようです。スズメのつがいは、子育てしない冬の間も、いっしょにくらします。親鳥のねぐらは巣です。♂と♀が一緒に使う場合もありますし、どちらかが使い、もう1羽は近くにあるねぐらに行くこともあります。(中略)スズメにとって巣は、ヒナを育てるだけではなく、夜、眠る場所にもなっています。他の鳥にとって、巣はヒナを育てるときだけのもので、スズメのように、一年中使う例はあまりありません。スズメが巣の場所をめぐってはげしく争うことがあるのも、巣が自分たちの住み家でもあるからなのでしょう。 (p36〜37より引用)

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