2015年7月中旬
郊外を流れる川のコンクリート護岸にハグロトンボ(Calopteryx atrata)が集まっていました。
必ず顔を川に向け、水際でほぼ一列に止まっています。
ときどき飛び立って水面の上を飛び、すぐに舞い戻る、という謎の行動を繰り返しているのが気になりました。
幸いハグロトンボの性別を見分けるのは簡単で、♀は胴体が黒く、♂の腹部は金属光沢のある緑色です。
♀も♂も両方混在しているのに、なぜか求愛や交尾行動は見られません。
ハグロトンボは「ほかのカワトンボ類のような儀式ばった配偶行動はない。」(ヤマケイポケットガイド18『水辺の昆虫』p48より)
wikipediaによれば、ハグロトンボの
羽化後の若い個体は薄暗いところを好み、水域から離れて林の中で生活するが、成熟すると再び水域に戻り、明るい水辺の石や植物などに止まり縄張りを張る。
地上で止まっている時に黒い翅を勢い良く開閉して誇示しているのは以前も見たことがあります。
▼関連記事
・ハグロトンボ♀の翅紋誇示
・ハグロトンボ♂が翅を開閉『昆虫の研究:トンボの楽園』p8によると、
ハグロトンボは、ふだん羽をとじてとまる。羽を開くのは、近づくなという縄張り争いの信号だ。もし単純な縄張り争いだとしたら、領空侵犯されても迎撃して追い払わないのは解せません。
隣接個体とのパーソナルスペースを守るためだけに飛び上がっては止まり直し、川岸での居場所を変えているのでしょうか?
京都鴨川の名物となっている堤防に等間隔で座るヒトのカップル※のように、ハグロトンボも川岸で自然に等間隔で並ぶようになるのかな?
※ 興味のある方のためへのリンク集
- 鴨川カップルの謎
- 京都・鴨川河川敷に坐る人々の空間占有に関する研究@CiNii(PDFは残念ながら有料)
- 鴨川カップルシミュレーション
回転寿司のように水面を流れてくる餌を待って捕食しているのでしょうか?
群れの様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみたら(@1:41〜)、飛び上がる謎が解けました。
飛びながら巧みに身を翻して小さな昆虫を空中で狩り、捕食していたのです。
皆が川の方を向いて止まっていた理由もこれで分かりました。
♀♂が集まっていたのに交尾しなかったのは、色気よりも食い気だったようです。
脚で捕らえた獲物を口元に持って行ってから着陸しました。
飛んでる獲物が小さ過ぎて見えないのが残念です。
ただし目の前の水面をアメンボが横切ってもハグロトンボは無反応です。
アメンボは肉食性の水生昆虫だから捕食の対象にはならないのでしょう。
着陸地点は元の位置とは限らず、右に左に移動します。
つづく→引きの絵で撮影
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