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2015/07/14

ハシボソガラス幼鳥(野鳥)の頭骨標本作り



2015年7月中旬

▼前回の記事
死んだハシボソガラス(野鳥)の生物分解

昨年の夏(2014年7月下旬)にハシブトガラスCorvus corone)の死骸を見つけました。
当時は気づかなかったのですが写真を見返すと、口の中が赤いので巣立ったばかりの幼鳥のようです。(成鳥は口の中が真っ黒)
自分で餌が上手く取れずに餓死したのですかね?
(解剖して胃内容物を調べるには、死骸の発見が少し遅かったです。)
幼鳥とは言え、カラスを襲う天敵が思いつきません。
もし万一、死因が鳥インフルエンザなら感染のリスクがあるかも…と心配したものの、杞憂に終わりました。(※追記参照)

せっかくなので、頭骨の標本を作ってみました。
全身骨格標本や剥製を作るのは物凄く手間がかかりそうなので、頭骨に絞りました。
ハシブトガラスから全身骨格標本を作る方法を詳細に解説したサイト(生物教材として骨格標本を作っておられる専門家)を後になってから見つけました。
私はほぼ自己流でやってしまいました。
完成がここまで遅れたのは、一気に仕上げず作業の途中でかなり放置してしまったからです。

亡骸を採集してから4日後に、作業開始。
ほとんど羽と骨のみで、干からびていました。
死臭も少なく、ハエもほとんど来ません。
死骸の接地していた側の肉や内臓は生物分解されていました。
まずカッターナイフで首の皮と頸骨を断ち切りました。
頭部を水で煮て除肉します。
沸騰するとアクと悪臭が大量に出ました。
何度も頭を裏返しながら弱火で煮ます。

嘴の中に舌骨が見えます。
眼球を支える強膜骨をきれいに残す方法が分からないので、取り除いてしまいました。(元から眼球は食われていたかも?)



このまま7ヶ月以上も室内に放置された頭骨は褐色に色素沈着していました。
もしかするとこの期間にカツオブシムシなどが乾燥組織を食べに来ていたかもしれません。
上下の顎が外れてしまいました。

タンパク質分解酵素を含むポリデント(入れ歯洗浄剤)処理は手軽ですけど、関節がばらばらになる失敗が怖いので、ただ水に浸してじっくり腐らせることにしました。
ペットボトル容器に頭骨を入れ水道水をなみなみと注ぎました。
サランラップで覆い、更にビニール袋で三重に密閉してから、保管します。



室温放置で丸2ヶ月が経過したので、頭骨を取り出してみました。
水は少し濁っていたものの、特に腐臭はしませんでした。



取り出した頭骨を水洗い。
嘴をキャップ状に覆う銀色の組織は、指で擦るだけで剥落しました。
関節?が今にも外れそうなので、歯ブラシで擦ったり漂白処理するのは中止。
後は自然乾燥するだけです。
脱脂処理(アセトン)も漂白処理(過酸化水素水)もしていない手抜きです。
(薬品の入手や廃液の処理が面倒そう)
頭骨標本を売り物にする訳でもありませんし、純白の白骨にしなくても、自然な色合いで満足しています。



充分に乾いてから側頭部の細長い骨を木工用ボンドで接着しました。
上下の嘴の先端をがしっかり噛み合わせようとすると、後頭部の接合部が浮いてしまいます。
何か重要な骨を紛失してしまったかな?
下顎の骨を間違って上下逆にしてますかね?
上下の嘴を接着せず、下顎にただ頭骨を乗せているだけです。
余った謎の骨は頚椎骨と舌骨の一部でしょうか?
舌骨と強膜骨を失ってしまったこと以外、初めてにしては満足の行く出来栄えでした。

頭骨の重量を量ると、上が2.1g、下が0.8gの計2.9gでした。
空を飛ぶために、おそろしく軽量化されているのですね。

実際に頭骨標本を手に取ってみると、あれほど賢いカラスの脳容量が小さいことに驚きます。
頭骨のほとんどは眼窩が占めています。
それでも他種の鳥類と比べれば破格に頭でっかちなのかもしれません。




【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本によると、
高病原性鳥インフルエンザに感染しやすいのはキジ類やカモ類などの鳥たちで、カラスが感染する可能性は低いとされています。 (p193より引用)
他にもカラスがよく罹る病気として、クル病やペローシス(腱はずれ;perosis)、鳥ポックスウイルス感染症、ウェルシュ菌などによる腸炎が詳しく解説されていて、とても勉強になりました。



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