ヒオドシチョウの飼育記録#11
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触られて暴れるヒオドシチョウ垂蛹
2015年6月上旬・室温25℃
10日前に蛹化したヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelas japonica)個体a黄が遂に羽化しました。
朝起きたら、錆色だった蛹が黒っぽくなっていました。
蛹の外から成虫の翅の赤いヒオドシ模様が透けて見えるので、羽化が近いと分かりました。
羽化の様子を記録するために、カメラ2台で別アングルの微速度撮影をしてみました。
垂蛹の腹端が竹の棒に対して斜め向きに(45°)付着しているため、真っ直ぐなアングル(背面、側面)で撮ろうとすると苦労しました。
羽化した成虫がどちらを向いて翅を伸ばしてくれるのかは運次第ですが、二方向から撮ればなんとかなりそうです。
まず初めにご覧頂く映像は、背側を狙った10秒インターバル撮影の連続写真を素材に制作したものです。
ヒオドシチョウの垂蛹は自発的な蠕動など羽化の前兆は一切ないようです。
羽化開始時刻は午後14:39:24でした。
突然に蛹の胸背が割れました。
成虫の脱出はあっという間で(1分半)、午後14:40:56には蛹から完全に抜け出て抜け殻にしがみつきました。
午後14:43:14には翅も伸び切りました。
とにかく大急ぎで羽化が完了しました。
続いてお見せするのは、側面を狙い、初めから動画で撮った10倍速の早回し映像です。
成虫は羽化殻にしがみついたまま、ゼンマイ状の口吻を伸縮させています。
室内の微風に翅があおられてユラユラ揺れています。
ヒオドシチョウ成虫の性別の見分け方を私は知りません。
蛹の中で折り畳まれていた翅がまっすぐに伸びるのは、翅脈に送り込む体液の圧力によるものです。
翅伸展が完了すると、余分な体液を排泄します。
蛹便とか羽化液と呼ばれるのですが、ヒオドシチョウの場合は血のような色をしていました。
早回し映像でも蛹便を排泄する瞬間が撮れていました。
複数回に分けてポタポタと滴り落ちて、下に敷いた白紙で赤い滴がわずかに大きくなりました。
新成虫は夜になると、羽化殻から竹棒に登って下面にしがみつき、眠りに就きました。
初めて飛ぶ瞬間は見逃してしまいました。
紙面に残った蛹便の雫が乾いて、血の色になっていました。
本当にヒトの血痕と間違えそうです。
翌日に乾いた蛹便痕 |
以下は羽化殻の写真です。
垂蛹を腹端を固定するため竹棒に張り巡らした足場糸を剥がすとシート状になっていました。
側面 |
側面 |
背面 |
腹面 |
腹端を固定するため竹棒に張り巡らしたシート状の足場糸を剥がす |
つづく→#12:個体cの羽化【10倍速映像】
【おまけの動画1】
記事冒頭の映像では動きのない部分を編集でカットしましたが、10秒インターバル撮影で長時間(午後12:03:36〜16:04:34)監視した記録映像をブログ限定公開します。
垂蛹が激しく蠕動するなど羽化の兆候は認められませんでした。
不意に羽化するので驚きます。
【おまけの動画2】
別アングルの10倍速微速度撮影でも、羽化の直前まで垂蛹に動きはありませんでした。
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