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2015/05/28

夜に産卵するモリアオガエルの群れ【暗視動画】



2015年5月中旬

モリアオガエルRhacophorus arboreus)が繁殖する里山の小さな沼に毎年通って定点観察しています。
岸辺に生えた木の枝に集まり泡巣を作りながら抱接産卵する様子を2012年に動画で記録し、2013年には微速度撮影しました。

今年のテーマは夜間の撮影です。
この日は午前中まで雨が降り午後から晴れたので、いざ出陣。
すると予想通り、既に繁殖期が始まっていました。
例年より少し早いようです。

雨が降ったせいで沼の水量が多く、毎年使っているお気に入りの撮影ポイントが水没していました。
カエルが集結している木に接近しずらくなり、三脚も使えず困りました。
マユミの枝先に産み付けられた泡巣の一部は枝がしなって水に浸っていました。
このように泡巣が着水すると水中に住む天敵に卵が捕食されてしまうのでしょうか?



枝の2箇所で今まさに集団産卵が行われているのを明るいうちから見つけておきました。
暗くなるのを待ってビデオカメラを手に岸からゆっくり水辺に近づきます。

この日一番の失態は赤外線投光機を家に忘れてきたことです。
したがって、ビデオカメラ内蔵の赤外線LEDが届く範囲まで被写体に近づかないといけません。
なるべく枝を揺らさないよう慎重に忍び寄り、間近で繁殖行動を撮影しました。
それでも接近中にカエルを驚かせてしまい、泡巣から数匹が下の水面にポチャンと飛び降り逃げてしまいました。
ヤブ蚊対策としてウィンドブレーカーを上下に着こみ、ニット帽と手袋まで着けました。
季節外れの重装備でも、日が暮れた山中ではあまり暑くありません。

隣接して生い茂ったマユミケナシヤブデマリが重なりあう枝葉に産み付けられた泡巣bにまず注目します。(泡巣aについては別記事に)



モリアオガエルの繁殖行動に影響を及ぼさないよう、照明はなるべく控えて赤外線の暗視カメラで撮りました。(※追記参照)
途中でビデオカメラを通常モードに切り替え、試しに白色LEDで照らしてもカエルは平気そうでした。

♀らしき巨大な個体が中央に居て、その背中に♂と思われる小型の個体が多数しがみついています(抱接)。
長い休息を挟みながら、ときどき一斉に鳴き始め、それを合図に脚で粘液を泡立てています。
このとき産卵および受精が行われているそうです。
鳴いている喉の動きが見えます。
夜行性というよりも、「昼間から始めた産卵行動を暗くなっても続けている」という印象でした。
夜の方が多くのモリアオガエルが集まってくる、ということもありませんでした。(短い観察時間ですけど)

翌日に再訪しても泡巣の数はもう増えていませんでした。

ちなみに、日の入り時刻は18:43PMでした。
ほぼ新月(月齢27.3)でしかもとっくに沈んだ後なので、月明かりは全くありません。
気温を測り忘れたのが残念。

▼つづく

古池やモリアオガエル飛び込む水の音♪【暗視動画】

以下は翌日に現場を再訪して撮ったケナシヤブデマリの写真。
いつもうろ覚えのムシカリと間違えるので、この機会に記録しておきます。



※【追記】
『動物の記録8:モリアオガエルの谷』p102によると、
現在まで何回か産卵を観察したわたしの経験によりますと、ふだんはおくびょうで、とても注意ぶかいモリアオガエルも、卵をうみはじめると、それに神経を集中するせいか、生来の神経がにぶってくるようです。近よって懐中電灯で照らしても、大きな音をたてても、枝をうごかしてさえもにげません。写真をとるにしても、近くに三脚を立てて、ゆっくりと撮影することができます。

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