2014年11月下旬
川べりにそびえ立つ落葉高木(
近くをよく通りかかっていたのに、落葉するまでこの巣の存在に全く気づかなかったのは我ながら迂闊でした。
スズメバチのコロニーは既に解散した後のようです(もぬけの殻)。
巣の外被上部と側面の数カ所が外から抉られたように破壊され、巣盤が剥き出しになっていました。
脆い外被が早くも雨風で風化したのかと思いきや、激しい損傷の原因(犯人)がすぐに分かりました。
遠目から望遠で撮っていると2羽のヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)が代わる代わる飛来して近くの梢に止まると、古巣の外被を嘴で啄み始めました。
中の虫を捕食しているのでしょう。
ヒヨドリが鳴き交わす声♪もかすかに聞こえます。
ヒヨドリが飛び去った後で、古巣の状況をもっとよく観察するため喬木に近づきました。
真下から外被の底部を見上げて鱗模様の造形美を鑑賞していると、おそらく先程のヒヨドリが私の存在に気づかぬまま戻って来てくれました。
壊した外被の中を横から覗きこんで獲物を物色しています。
その後ヒヨドリはキイロスズメバチ古巣の上に乗ってしまったので、肝心の捕食シーンは残念ながら真下から見えませんでした。
やがて枝に止まったまま黄土色の糞を排泄(@1:44)。
ヒヨドリがいなくなってからもしばらくその場で待機してみたのですが、他の種類の野鳥はキイロスズメバチの古巣に近づきませんでした(興味を示さない)。
スズメバチの巣を襲撃する天敵の鳥類としては猛禽類のハチクマが有名です。
怒り狂ったスズメバチからの反撃を恐れず巣の外被を壊して巣盤ごと持ち去り、蜂の子を雛に給餌することが知られています。
しかし私は未だ一度もハチクマの姿を見たことはありません。
山形県でハチクマはレッドデータの絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されています。
したがって、この古巣を初めに壊した下手人がハチクマだとは今のところ考えていません。
晩秋にオオスズメバチが襲撃した可能性はありますね。
それにしてもヒヨドリがスズメバチの巣を壊して中身を捕食するとは全く予想外で、意外な組み合わせに驚きました。
今回のヒヨドリはハチクマのようにスズメバチの巣盤を持ち去ったりせず、その場で中身を何か捕食したようです。(鳥が雛を育てる繁殖期ではないので、当然ですね。)
時期的にキイロスズメバチのコロニーが解散した後ですから、育房内に蜂の子(スズメバチの幼虫や蛹)が残っているとは思えません。
巣内に残っていたとしても、少数の羽化不全個体ぐらいでしょう。(ワーカーによって巣外に捨てられるのでは?)
むしろ、スズメバチの巣内で寄生したり片利共生する昆虫※の幼虫や蛹をヒヨドリが捕食していたのだろうと推測しました。
※ 蛾(ギンモンシマメイガなど)や虻(ベッコウハナアブ類)、甲虫(ハネカクシ類)など捕食メニューの別な可能性としては、越冬用シェルターとして古巣に潜り込んでいたテントウムシなどの昆虫も考えられますね。
本当のところは高木に登って古巣を採集し、中を調べてみないことには分かりません。
フィールドを出歩いて撮影していると「天がご褒美をくれたんじゃないか?」と感謝したくなる程とびきり嬉しい幸運がごく稀に巡ってくるのですけど、今回がまさにその一つでした♪
2014年は様々なスズメバチの巣と縁があってその定点観察に力を入れてきました。
今季を締めくくるに相応しい驚きの映像が撮れて興奮しました(自画自賛♪)。
つづく
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