2014年6月中旬
里山の山道の横でクサグモ(またはその仲間;コクサグモ?)が張った棚網にウスバアゲハ(Parnassius citrinarius)が引っかかって暴れていました。
棚網の糸に粘着性は無いのですけど、ウスバアゲハが一刻も早く網の外に逃れようとしても細かい網の目に足を取られて苦戦しています。
どこまで続く泥濘ぞ…。
私の頭の中では映画『ロッキー』の名曲「Going the Distance」がBGMで流れ、このウスバアゲハを応援したくなります。
一方、せっかく獲物がかかっているのに、なぜか網の主は捕食しに出て来ません。
クサグモは漏斗状の隠れ家にも不在なのか(未確認)、あるいはもう満腹なのでしょうか?
同じ棚網にはウスバアゲハの死骸が3頭も残されていました。(死屍累々)
クサグモには食べ残しを取り除いて棚網を掃除する習性が無いのでしょうか?
クサグモがウスバアゲハの死骸を掃除しないで意図的に残してあるなら、狡猾な囮作戦ですね。(究極のdeath trap)
つまり、ウスバアゲハの死骸を♀と誤認した♂が交尾しようと飛来し次々と網にかかったのかもしれません。
騎士道精神を発揮してウスバアゲハ♂が仲間や姫を助けに来る訳ではありませんが、ミイラ取りがミイラになる連鎖反応を想像しました。
▼関連記事ウスバアゲハの交尾干渉@クマイチゴ花監視カメラを設置してこの棚網を長時間見張れば証拠映像が撮れたかな?
恥ずかしながら私のウスバアゲハ性別判定はあやふやで自信が無いのですが、脱出中の個体は腹端に交尾嚢は付けていませんでした。(少なくとも交尾後の♀ではない。)
ようやく棚網の端の葉っぱ(ヤマグワ)に辿り着くと、ウスバアゲハは羽ばたいて網の外に出ました。(@4:00)
生還おめでとう!
さすがに疲労困憊したようで、そのまま葉上で翅を閉じてしばしの休息。
(映像はここまで。)
指で触れると少し飛んで逃げ、近くに咲いたオオダイコンソウの黄色い花で吸蜜しました。
『日本動物大百科9昆虫II』のp32によると、
アゲハチョウ類の配偶行動は、雌雄を紫外部の性的二型などによって視覚的に識別するシロチョウ科の場合とはまったく異なっている。
♂は雌雄を視覚的には識別できず、♂にも♀にも接近し前あしで翅にふれる。そして化学物質を感知するなどいくつかのほかの手がかりをつかって、♀との交尾に至る。
クサグモの棚網から脱出を試みるウスバアゲハ |
全景 |
死屍累々 |
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