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2014/12/27

引越し後のキイロスズメバチ移動巣を見つけた!



2014年8月中旬

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#1

登山道の休憩所(東屋)の屋根裏にキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)が巣を作っていました。
ここは私も頻繁に利用するのですが、一番最近では15日前に来た時はここに巣はありませんでした。

したがって、創設女王が作った母巣ではなく移動巣(第二次巣)であることは間違いありません。
ごく最近コロニーごと引っ越してきたばかりのようです。

『スズメバチの科学』p171より用語の解説

巣の引っ越し(nest relocation)
モンスズメバチとキイロスズメバチにおいて越冬後の女王蜂によって狭い空間に巣が創設された場合、巣の発達に応じて広い場所に新たな巣を造り移動すること。最初の巣を母巣(primary nest)、後の巣を移動巣(第二次巣:secondary nest)という。


キイロスズメバチの古巣はよく見かけるものの、活動期のコロニーを見つけたのは意外にもこれが初めてです。

とてもワクワクしました。
巣の大きさは目測でグレープフルーツぐらいでした。
防護服を持っていないため、危なくて直接測ることは出来ません。
仕方がないので、大きさの目安となる比較対象を採寸することにしました。
巣が固定された天井の梁(太い角材)の幅は115mm、天井板の幅は145mmでした。




映像では6匹のワーカーが外被上で活動しています。
紙製の外被を蜂が歩き回るとガサゴソ、バリバリと足音がします。
真下に作られた巣口の縁を狭く補修している個体がいます。
外被上で2匹が口づけを交わし栄養交換しました。(@1:45)
花蜜もしくは樹液を吸汁してから戻って来たのかもしれません。
巣材集めから帰った♀が(@2:30)巣内に入らず外被上でパルプ玉を噛みほぐしています。
外被を歩き回って増築場所を探しています。

かなり長時間観察しても、肉団子を持ち帰るワーカーを全く見かけませんでした。
おそらく育房内は未だ卵のみで、幼虫が孵化していないため給餌する必要がないのでしょう。
コロニーの総力を上げて外被の増築に専念しています。

樹洞に営巣するモンスズメバチを同時期に並行して観察していました。
(このモンスズメバチの巣も引っ越した後の移動巣ではないかと疑っているのですが、定かではありません。)
樹洞内のモンスズメバチとは異なりキイロスズメバチは巣口で扇風行動を全くしない点が興味深く思いました。
営巣地の立地からも、開放空間に吊り下げたキイロスズメバチの巣は風通しが良くて夏の日差しは屋根で遮られ、いかにも涼しそうです。
巣を冷やす扇風行動が不要なのでしょう。

『スズメバチの科学』p26によると、

・(引越し後の)キイロスズメバチは、家の屋根の軒下などのような開放空間に全体が外被で包まれた楕円形の巣を造るのに対して、モンスズメバチは、大木の空洞などの閉鎖空間に底が抜けた釣り鐘型の外被をもつ巣を造る。
・女王蜂1頭の単独営巣期には敵に見つかりにくく環境も安定している狭い閉鎖空間に巣を造り、多数の働き蜂が羽化し気温も温暖になってから広い場所に引っ越す。
・女王蜂が最初から十分な空間のある場所に営巣した場合には引っ越しを行わない。

つづく→シリーズ#2(造巣の微速度撮影)

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