ページ

2014/12/20

苔むしたコナラの根際で争うスジクワガタ♂



2014年9月上旬

苔むしたコナラの根際で小型のクワガタムシ2匹が喧嘩していました。(闘争シーンは撮り損ね)
2匹は一旦離れたものの、ウロウロ歩き回った挙句に結局は同じ穴に潜り込みました。
樹液スポットを巡って争奪戦が行われているのか、隠れ家(シェルター)として苔の下に潜り込もうとしているのか、目的がよく分かりませんでした。

幹を覆う苔をスズメバチのように大顎で毟り取ったり苔の下に潜り込んで樹皮から樹液を舐めようとしているような気がします。
ハエも来ているので、やはり樹液が滲むスポットのようです。
同一のコナラの木でもスズメバチ類(チャイロスズメバチ、モンスズメバチ)が盛んに通って専有している樹液スポットとは互いに棲み分けているのが興味深く思いました。


本郷儀人『カブトムシとクワガタの最新科学』によると、
ミヤマとノコギリは両者とも、カブトムシと同じく木の表面から樹液の出ている部位を餌場にしています。が、ヒラタクワガタ、コクワガタ、スジクワガタなどは樹木の表面ではなく、樹皮の裏側やウロなどに潜り込み、主にその中を餌場にします。つまり、同じ樹液場に集まったとしても、樹木の表面を狙う種類と、樹皮の裏側を狙う種類のあいだでは微妙に「棲み分け」ができているため、互いを脅かすことなく共存できているわけです。(p63より引用)



恥ずかしながら未だにクワガタムシを見分けるのはあまり自信がないのですけど、これはコクワガタ♂(Dorcus rectus)ですかね?
小型で大顎の発達が悪いとは言え、♀ではないと思うのですけど。
もし♀だとしたら、産卵のための行動である可能性もありますかね?
それともクワガタムシ以外の甲虫だったりして…。





動画撮影後に2匹を採集しました。
以下は標本写真。

鞘翅に縦筋があるので、小型のスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis)のような気もしてきました。
ただし、大顎の内歯が一つである点はコクワガタの特徴なので素人には悩ましいところです…。
小学館の学習百科図鑑49『クワガタムシ』p47によると、
(スジクワガタは)コクワガタに似ていますが、大型個体では、大顎の内歯は常に2本あり、小型の個体でも必ず小さい歯が1本あります。また、中・小型の♂、♀は前翅に縦筋がはっきりと現れます。


『札幌の昆虫』p112によれば、
コクワガタとスジクワガタのちがい 
全てのコクワガタの上翅にはすじがない。スジクワガタも大型〜中型の♂ではすじが消失するが、大顎の内側の歯の形が異なるので区別できる。



正面および側面から接写した際に、前脚の腿節前面に密生した褐色の毛束パッドを見つけました。
これはセンチコガネ科およびクワガタムシ科に性別を問わず見られ、フェロモンを分泌するらしい。
▼関連記事 
センチコガネの前脚に謎の付着物

0 件のコメント:

コメントを投稿