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2014/09/12

体内寄生で歩行障害を呈したマイマイガ(蛾)前蛹c



2014年7月上旬


▼前回の記事
寄生されたマイマイガ(蛾)前蛹cが繭から脱出【微速度撮影】

前日に紡いだ繭からなぜか脱出したマイマイガLymantria dispar japonica)前蛹cはプラスチック容器内を徘徊し始めました。

幼虫時代とは異なり体を波打たせる動きがぎこちなく、正常に前進できません。
脚の握力が失われているのか、垂直壁面を登れなくなっていました(紙箱でもプラスチック容器でも)。
そのため脱走する恐れは無さそうです。
飼育部屋で蚊取り線香はもちろん焚いていませんので、殺虫剤による神経症状ではありません。
前蛹として変態が進み、運動能力が奪われつつあるのでしょうか?(筋肉細胞や運動神経の細胞死など)

紙箱の隅でようやく落ち着きました。
しかし再び繭を紡ぎ始めることはありませんでした。
ひょっとすると空腹なのかな?
もし食草を与えたら食べたでしょうか?
無秩序な徘徊を続けても繭の中に自力で戻る気配はありません。

実はこの個体cは寄生バエ(ヤドリバエの仲間?)に体内寄生されていることが後に判明します。
マイマイガの内分泌系(脱皮変態ホルモン)が撹乱されていて、もはや脱皮できないようです。
筋肉や運動神経を食い荒らされてもがき苦しんでいる断末魔の状態なのかもしれません。
放送大学特別講義『ヤドリバエの世界』によれば、ヤドリバエの幼虫は寄主体内の細胞性免疫応答をかわすために神経節や絹糸腺に潜り込む例が知られているらしい。
今回観察した一連の異常行動がヤドリバエによる寄主操作だったら面白いですね。

水平に置いた容器を真上から見下ろすように撮りました。
採寸のため一円玉を並べて置いています。

▼つづく
マイマイガ(蛾)前蛹cから脱出するヤドリバエの終齢幼虫【微速度撮影】


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