2014年6月上旬
山麓に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でベッコウハナアブ♀(Volucella jeddona)が訪花していました。
ベッコウハナアブ(標本写真はこちら@ハナアブ写真集サイト)はおそらくトラマルハナバチにベーツ擬態しているのでしょう。
しかし、このとき一緒に訪花していたのはクロマルハナバチとコマルハナバチで(映像公開予定)、トラマルハナバチは来ていませんでした。
【追記】
『マルハナバチの謎〈下巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』p37によると、
ベッコウハナアブの一種で、マルハナバチに形や色など外見が似ているだけではなく、飛びかたも、羽音も、体にちょっと触れれば仰向けになってあしを上にあげるところまで似ています。(中略)体の形や色はもちろんのこと、住む地域の変化による色の変化さえ、このベッコウハナアブの成虫はマルハナバチに似ている。特に下線部の行動擬態に興味が湧いたので、日本産ベッコウハナアブ類でも見られるかどうか、いつか生け捕りにして試してみたいものです。
【追記2】
石井誠『昆虫のすごい瞬間図鑑: 一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン』の擬態を扱った章にベッコウハナアブも登場します。
生態写真そのものはとても素晴らしく、私ごときが文句のつけようがありません。
しかし、擬態のモデルがコマルハナバチと書いてあるのは問題です。
ベッコウハナアブは全身にコマルハナバチのような毛が生えている。花の蜜を吸う姿はほとんど見分けがつかない。(p106より引用)
ベッコウハナアブと並べて掲載された「コマルハナバチ」の写真はトラマルハナバチの誤同定だと思います。
コマルハナバチ♀の胸部は黒いのでベッコウハナアブの配色とは全く似ていません。
筆者の単純な勘違いでしょう。
私は個人的にベッコウハナアブの擬態のモデルは(あえて言うなら)トラマルハナバチではないかと思います。
この本はあちこちに勇み足や誤同定が散見されるものの、筆者が長年撮りためた生態写真の価値は下がりません(素晴らしい労作です)。
私の拙動画ブログも誤同定が多いはずなので、他人のことをとやかく偉そうに言えません。
皆がお互いに間違いを指摘し合って粛々と全体の質を高めていく(訂正する)しかありません。
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