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2014/02/21

ボタンヅルを訪花するエゾクロツリアブ♀の停空飛翔【ハイスピード動画】



2013年8月下旬

農村部の民家の庭先に咲いたボタンヅルツリアブの仲間が訪花していました。
ホバリング(停空飛翔)の様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。

ビロウドツリアブとは異なり長い口吻を持たないので、停空飛翔しながらの吸蜜は無理な筈です。
それなのにボタンヅルの花の手前で結構長い間、ホバリングしていました。
ようやく花に着陸しても、少し舐めてからまたすぐに飛び立ちます。
おそろしく燃費の悪い無駄な行動のように見えますけど、何か理由があるのでしょうか?

ボタンヅルの葉や近くの建物の壁に止まって休んだ際に、しっかり写真に撮ることができました。
複眼の形状から素人目には♀のように見えます。
産卵(産仔)行動でもないようです。
寄主(マメコバチ)が訪花するのを待ち構え、巣まで尾行する作戦なのかな?

翅の模様を資料と見比べると、エゾクロツリアブAnthrax jezoensis)と判明。

【参考文献】 Genitalia of the Japanese Species of Anthrax and Brachyanax (Diptera, Bombyliidae) 1995 
(インターネットで検索すると全文PDFが無料でダウンロードできます。)
マメコバチの巣に寄生するらしい。(ソース1ソース2



【追記】
英語版wikipediaで近縁種のAnthrax anthraxの行動について興味深い記述を見つけました。
花の上でホバリングをするスローモーションの映像が掲載されており、それを注意深く見ると、飛びながら前脚で花に触れて花粉を集めているようです。
その後に空中で足先を舐めて花粉を摂取するのでしょうか?
解説はこちらのサイト(Insect Behavior)の方が少しだけ詳しい。
私も次に機会があれば、停空飛翔するクロツリアブの側面から撮影して集粉行動かどうか突き止めたいものです。


【追記2】
虫好きにとって古典的バイブルである岩田久二雄『自然観察者の手記』第2巻の第4部に「コウヤツリアブの蜂の巣潜入」と題した章があり、エゾクロツリアブと同属のコウヤツリアブAnthrax aygulus)の生態について観察記録を詳細に記述してありました。
短い舌はせいぜい着陸面から何かをなめる程度にしか役立たないであろう。実際にこのアブの訪花は見たことがない。いかに軽やかに巧みに飛ぶといっても、そのエネルギーとして何を栄養にしているのか、いっこうにわからない。 (p209より引用)
偉大な先人も突き止められなかった謎を解決する糸口が掴めたかも知れない、と嬉しくなりました。





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