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2014/02/18

樹液酒場で口付けを交わすオオスズメバチ♀(栄養交換)



2013年10月下旬

樹液が滲むミズナラの幹を歩き回ったり、立ち止まって身繕いしているオオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)がいます。
樹液酒場で吸汁している蝶を見つけると、駆け寄って追い払っています。(餌場の占有行動)

幹を徘徊パトロール中にもう1匹のオオスズメバチ♀と遭遇し、出会い頭に長い口付けを交わしました。(@2:05)
これは社会性ハチ類で見られる栄養交換と呼ばれる行動で、同じコロニーから来た仲間に口移しで樹液を分け与えているのだろうと初めは思いました。
2匹の体長にやや差があります。
ただの個体差なのか、それとも新女王とワーカーの組み合わせなのか、不明です。
近くでシータテハが鬼の居ぬ間に樹液を吸汁しています。

しばらくすると、ミズナラの木の周囲でオオスズメバチ♀同士が激しい空中戦をしていました。(映像なし)
慌てて録画を始めると(@3:00)、2匹が幹に止まってからまたもや口付けを交わしました。
喧嘩の続きで大顎で噛みつき合っているようには見えません。
挨拶の結果、同じ巣由来の仲間であると認識し、和解できたようです。
相次いで平和に飛び去りました。
ただし巣がどこにあるのか突き止めないことには、上の解釈も想像に過ぎません。

スズメバチ関連書を読むと、オオスズメバチは同じ巣の仲間と協同で餌場を防衛・占有し、異なるコロニー間では餌場を奪い合う争いがあるのだそうです。

とりあえずこの樹液酒場に何匹のオオスズメバチが通ってきているのか知りたいところです。
そのためには、蜂を片端から生け捕りにして個体標識する必要があります。
相手がオオスズメバチでは特にしっかり準備して挑まないと危険が伴いますので、今後の課題です。
せめてその場で体長を測れれば、ワーカー/新女王の区別が付いたかもしれません。

以前、コナラの樹液酒場でも同様の栄養交換を観察しています。

関連記事→「樹液酒場のオオスズメバチ

【参考】
「都市のスズメバチ」サイトによると、

栄養交換は成虫同士でも頻繁に行われ,甘露や樹液などの液状の食物を口移しでやりとりします.行う場所は巣盤,巣口,外皮などですが,オオスズメバチでは樹液の採集場所でも頻繁に行われます.



【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
 成虫間の食物交換は、社会性ハチ類の場合には、巣の中でおこなわれるのが原則である。(中略)ところが、オオスズメバチだけは、巣を離れていても、同じ巣の働きバチ同士が、頻繁に口移しによる食物のやりとりをおこなう。このスズメバチは、集団で他の社会性ハチ類の巣を襲い、幼虫や蛹を掠奪するという特殊なえさ集めをおこなっているが、その際に、成虫間の食物交換が、エネルギーの補給路として重要な意義をもっている。(p184-185より引用)



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