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2014/01/12

生物分解が進むニホンザルの死骸【微速度撮影】



2013年9月下旬・気温31℃→26℃

ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#09

2日ぶり2回目の定点観察。
害獣捕獲用の檻に放置された野生ニホンザル2頭の死骸は生物分解が進み、体の厚みがぺったんこに萎んでいました。
骨盤(尻だこ?)がやや露出しています。

2頭の死骸で生物分解の速度に差があるようです(L>R)。
檻は木陰に設置されているのですが、日当たりの違いや死体の姿勢に影響されるのでしょう。
そもそも2頭の死亡時刻が違う可能性もあります。(※追記参照)
死骸Lに群がるウジ虫は激減しました。
屍肉や内臓を食べて充分に育ったハエ(ニクバエ、クロバエ、キンバエなどの仲間)の老熟幼虫(ウジ虫)が地中で蛹化するために死骸から続々と離脱しています。

約3時間かけて10秒間隔のインターバル撮影した計243(L)+868(R)枚の写真を元に早回し映像を作成しました。

いよいよ死骸から漂う腐臭がきつくなってきました。
バンダナで顔を覆いマスクにして浅く口呼吸。
次回はメンソールを鼻の下に塗る必要があるかもしれません。


【私的メモ】
今回の素材をYouTube用の標準設定で動画をH264エンコードすると、せっかく静止画で撮った画質が粗く劣化してしまいました。
背景が金網やら枯草やらで情報量が多いため、ビットレートを高く設定(10,000)し直したら改善。

つづく→シリーズ#10




※【追記】
川瀬七緒『紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官』というミステリを読んでいたら、とても興味深い記述を見つけました。
過去の実験データによれば、組織の置かれた間隔が近いほど、虫たちは異常な行動パターンで誘引し合うことがわかっている。つまり、いくつかの肉を近くに置くと、ひとつの肉に虫が集中するか、あるいは、ひとつを除いてほかの肉で活発な活動がおこなわれることがあるのだ。実際、数人の死体が隣接して発見された現場では、偏った昆虫の来襲パターンができたという記録を読んだことがあった。 (p57より引用)


つまり、2頭並んで死んだ亡骸に集まる昆虫相や死肉分解状況に差があっても、短絡的に2頭の死亡推定時刻が異なるとは言えないらしいのです。(異常行動誘引)
これは驚きでした。(あくまでもフィクションの台詞なので、どこまで本当なのかな?)



【追記2】
推理小説家の川瀬七緒が参考にした元ネタと思われる本、Madison Lee Goff『法医昆虫学者の事件簿』(文庫版)を読んでみたら、出典の該当箇所を見つけました。
私は、三頭の(死んだ)ブタを少なくとも50メートル離して置いた。なぜなら以前の研究から、距離が近すぎると昆虫どうしが異常なパターンで誘引しあってしまうことを知っていたからである。もしブタを互いにくっつけて置いておくと、一頭がほかの二頭よりも明らかに強く昆虫の活動を受けるか、あるいは二頭がほかの一頭よりも活発な活動にさらされるということになる。実際、数人の死体が近接して発見される事件では、それと同じような偏った昆虫の襲来パターンが起こることを私は何度か見てきた。そうした事例では、たいてい一つの遺体にほかの遺体よりも多数の昆虫が集まっていた。 (文庫版 p51-52より引用)
この本は法医昆虫学のパイオニアが書いたノンフィクションです。
なぜそのような異常誘引行動が起きるのか、という私が最も知りたい点について本には答えが書いていませんでした。(未解明なのかもしれません)
私しぐまの素人考えでは、集合フェロモンあるいは視覚的に誘引されて群れる習性がありそうです。



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