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2013/02/08

ニホンザルのマウント行動@橋の上



2012年8月下旬

橋の上でくつろぐ野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れで見られた2回のマウント行動をまとめてみました。

初めは兄弟?の猿が遊んでいる最中にマウントしたケースです。
子猿にマウントしながら背中に噛み付く真似をしました。
マウントされた子猿は悲鳴を上げるも、近くにいるα♂は無関心で干渉しません。

年長者による優位行動と思われます。

次のケースは橋の上で2頭の成獣が行ったもの。
長時間座っていたα♂がおもむろに起き上がり、近くに居た別個体(♀? 睾丸見えず)にマウントしました。
マウントされた個体は右前腕で背後の猿の後脚に触れています。
その後、お返しに毛繕い(グルーミング)を受けます。

α♂以外の性別を見分けられなかったのですけど、ニホンザルの繁殖期は秋〜冬なので、この時期の馬乗り(マウント)は交尾行動ではない筈です。
♀は♂にプレゼンティングしていませんし、マウントする♂もペニスの挿入やペルヴィック・スラストも見られませんでした。
比較のため、冬の雪山で繁殖期の交尾行動を観察してみたいものです。

『ニホンザルの行動論ノート』p38によると、

性行動に慣れたおとなの♀は♂の顔をふり仰ぎながら右手をのばして♂の腰のあたりを掴んで引っぱり、自分の体に密着させようとする。
同書p77より
♀は、しきりと手をうしろに廻しては♂の足を引きつけて互いの体を密着させようとし、遂には♂の腹やあごの毛を掴みながら上体をねじって♂の顔をふり仰ぐ。




【追記】
馬のり行動(マウンティング)は、一般には♂間の「優位者」が「劣位者」に対する「順位確認行動」だと解釈されているが、必ずしもそうとは言えないらしい。
馬のり行動には、そうする個体が、自らの心的な興奮や緊張をしずめるため、という緊張緩和行動の意味あいが含まれていることがあるらしい。
(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p302-303より)




【追記2】
岡ノ谷一夫『言葉はなぜ生まれたのか』p67によると、
ニホンザルは、上位ザルが下位ザルの上に乗りかかる「マウンティング」というしぐさによって、互いに序列を確認しています。ただし、鳴き方は序列には関係ありません。


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