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2012/12/14

オオハキリバチの巣に侵入を試みるハラアカヤドリハキリバチ♀:前編



2012年9月上旬

山道の休憩所の軒下(西面)にこの夏、借孔性のオオハキリバチ♀Megachile sculpturalis
が営巣していました。
材木の梁?を組み合わせた隙間の穴に出入りしていたのですが、撮影しにくいアングルだったため、今までスルーしてきました。
その代わりにエントツドロバチの初期巣を定点観察していました。

営巣を完了したオオハキリバチが巣口に樹脂と泥を厚塗りして閉鎖した跡にこの日、赤い見慣れない蜂が飛来していました。
オオハキリバチを寄主とする労働寄生種のハラアカヤドリハキリバチEuaspis basalis)だ!とピンと来ました。

オオハキリバチが巣口付近に塗り付けた大量の樹脂にハラアカヤドリハキリバチが齧り付いているようです。
樹脂の芳香を頼りに目当ての巣を探し当てたのでしょうか?
何をしているのか間近から接写してみました。
マクロレンズを装着すると軒下では光量不足になるので、補助照明として白色LEDのマグライトを使用しました。
寄生蜂は樹脂の塊に頭を突っ込んで力を入れると大顎で樹脂を掻き出しました。
樹脂はゴムのような粘着性があるため、横にどけるのが精一杯です。
ハラアカヤドリハキリバチ♀がが樹脂に穿孔して寄主の巣内に侵入しようとしているところだと思われます。
木の柱にゴテゴテと盛られた樹脂はやり過ぎというか過大な投資(過剰防衛)ではないかと思っていました。

しかしオオハキリバチ♀には先見の明があったようで、天敵である寄生者対策として念入りに戸締りしていたようです。
樹脂(ヤニ)は近くに沢山生えているアカマツから採取したものかもしれません。

ハラアカヤドリハキリバチ(腹赤宿葉切蜂)の上半身は寄主オオハキリバチと同じく黒色ですが腹部の第2節以降が赤色で、ツートンカラーになっています。
セイボウに代表されるように、なぜ労働寄生蜂には派手な体色をした種類が多いのか不思議です。

後編に続く。

【参考】

『ハチとアリの自然史:本能の進化学』 第4章:オオハキリバチとその労働寄生蜂の生活 によると、ハラアカヤドリハキリバチは
  • 専ら完成直前や直後の巣を選択的に掠奪し、寄主との闘争を避ける。
  • 掠奪した(乗っ取り)寄主巣の育房を改良・再製してから、貯食された花粉団子に産卵する。
  • 寄主の卵や幼虫はこの改良工事の際に掃き捨てられる。
労働寄生蜂は、他のハチが貯蔵または貯食した資源を横領する。労働寄生とは寄主の巣内に卵を配置する習性を指す。



【追記】
自分でもすっかり忘れていたのですが、室内に迷い込んだ本種(別名ハラアカハキリバチヤドリ)の写真を6年前に撮っていました。


2006年9月上旬@室内窓際

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