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2012/11/16

ジガバチの営巣:獲物を狙う寄生ハエとの死闘#2:再度の巣坑一時閉鎖



2012年8月上旬

独りで観察しているため、逃げたジガバチ♀と営巣地を同時に監視するのは不可能です。
営巣地を見張ることにしました。
数分後、営巣地に一匹のジガバチ♀が空荷で現れました。
地面を徘徊して、一時閉鎖を解いたばかりの巣坑を探し当てました。
中を点検してから、驚いたことに再び一時閉鎖を始めました。

蜂の個体標識(マーキング)を施していなかったことがつくづく悔やまれます。
考えられる可能性は二つ。

  1. さきほど寄生ハエに追われて逃げたジガバチ♀がどこかに獲物を隠してから巣に戻って来た。
  2. 新しい営巣地を探していた別個体♀が運良く空き巣を見つけ、これを乗っ取り再利用することに決めた。(一種の労働寄生)
蜂は閉塞石を詰め込んだり、砂を足で掻き入れたり、手早く作業を進めます。
巣穴の横にまとめて置いていた大きな閉塞石も再利用しました。
永久閉鎖とは異なり、顔で押し固める力作業は省略。
閉塞石は巣穴のすぐ近くの物で済ませ、わざわざ遠くまで探しに出かけたりしない印象を受けました。


戸締りが済むと今度はあっさり立ち去りました。
このとき巣の場所を記憶するための定位歩行も行わなかったので、やはり巣主の♀が戻ってきたと考えるのが自然でしょう。
もし別個体の♀が巣を奪ったのなら、狩りに出かける前に巣穴の位置をしっかり覚える必要があるはずです。
オッカムの剃刀」の原則や「モーガンの公準」からも、シンプルな解釈(1)を採用することにします。
アクシデントのせいで本能行動の連鎖が断ち切られたように思うのですが、母蜂はこの後どうするのでしょう?

つづく


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