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2012/06/16

アズマヒキガエルの抱接と蛙合戦@沼



2012年5月上旬・水温20℃(日向の岸辺)

山中の小さな沼からカエルの鳴き声が辺りに響いていました。
そっと近寄ってみると、アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)が繁殖行動の真っ最中でした。
ざっと数えられただけでも8匹以上いました。

体長は目測で握り拳1個半ぐらい。
体色はバリエーション豊富です。
鼻腔でスピスピと呼吸する様子が可愛らしい。


産卵を終えた♀は山に帰るのに対して♂は繁殖期が続く限り沼に残るため、沼での性比はどうしても♂の方が多くなり♀の奪い合いになります。
ヒキガエルを個体識別して長期観察した調査結果によると、♂は毎年のように繁殖に参加するのに対して、卵形成により多くの栄養を必要とする♀は平均すると2〜3年に一度しか産卵しないのだそうです。
参考:久居宣夫『都市でひっそりと暮らすヒキガエル』(ポピュラー・サイエンス『都市動物の生態をさぐる:動物からみた大都会』第3章:p74-84より)


ちなみに、ヒキガエルが繁殖活動を始めるきっかけは地温とのこと。

生活する地域は違っていても、冬眠している深さの地温がある一定以上の温度(約6℃)になると、その地域のヒキガエルが目覚めて繁殖活動を始めます。(同書p78より引用)
沼のあちこちで蛙合戦が繰り広げられ、目移りしてしまいます。
単独の♂は動く物なんでも飛びつくらしい。
試しに実験してみればよかったですね。
実際に観察していると、あぶれ♂は近くを通った別の♂や抱接中のペアにも飛びかかって抱きついています。
♀と間違えてマウントされた♂は「離せ!」という意味でグーグー♪鳴きます(リリース・コール)。
これを聞くとあぶれ♂は諦めて離れて行きます。

抱接中のペアにあぶれ♂が横恋慕。
♀を抱いた先着の♂はリリースコールを発しながらライバル♂を文字通り蹴散らします。

♂を背負った♀は活発に泳ぎ回りますが、一体どこに向かっているのでしょう?
産卵に適した場所を探しているのかな?
それとも、わざとあちこち泳ぎ回ることで♂同士の蛙合戦を誘発し、勝ち残った強い♂と抱接したいのだろうか、という疑惑が生まれました。


長い紐状の物を引きずって泳いでいる抱接ペアを発見。
産卵中の卵塊かと思ったのですが、図鑑で見るのと色形が違います。
腐った水草か何かでしょうか。

産卵中かと思ったのですが、違いますよね?


水中の枝などに白い卵塊が付着していました。
これはヒキガエルではなくサンショウウオ♀が産んだ卵嚢のようです。

『いろいろたまご図鑑』p189によると、
「サンショウウオの卵は、卵嚢という袋に入っている。卵嚢は、産むときは小さいが、水を吸って膨らみ、たいていはバナナのような形になる。」






長編動画になってしまいました。
夢中で撮りまくったものの、映像をどのように編集すればよいか分からなかったので、単純に素材を繋げただけです。






つづく→「アズマヒキガエル幼生の群れ@沼


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