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2012/06/13

クロヤマアリが集団でコアシダカグモ♀亜成体を運ぶ



2012年5月中旬

山道に座って弁当を広げると、目の前で黒いアリが地面に群がっていました。
邪魔な落ち葉をそっと取り除くと、大きなクモを襲っていました。

蟻はクロヤマアリかな? クロオオアリ?

一方、獲物はイオウイロハシリグモ?と思ったのですが「中部蜘蛛懇談会 クモの掲示板」にて問い合わせてみるとコアシダカグモの一種だろうとご教示頂きました。(※)
斑紋は死後変色しているかもしれません。
腹背の後部に白い▽斑紋があり、頭胸部の縁が黒いです。

右の歩脚は既に欠損しています。

クロヤマアリの群れが運搬中

頭胸部の縁が黒い。

顔(左触肢が既に切断されている)

アリは節間膜に次々と噛みついて、大きな獲物もみるみる解体していきます。
歩脚を一本ずつ根元から噛み切ると、せっせと運び始めました。
二匹のアリが歩脚の両端を咥え協力して運んで行きます。

やがてアリが獲物の腹部を頭胸部から切断して巣へ運び始めました。
慌ててアリから一時的に取り上げ、写真に記録しました。
腹面に未成熟な外雌器らしき構造を認めました。
(アリに噛まれた裂傷?)
膨らんでいない触肢と併せて考えると♀亜成体かもしれません。


切断された腹部をアリから取り上げた。腹端に白い▽模様。

腹部腹面に外雌器?

採寸できたのは腹部だけ。

コアシダカグモは既に死んでいるようで、徘徊性のクモなのに全くの無抵抗でした。
脱皮間際で無防備な時にアリに襲われたのでしょうか?
あるいはクモバチに狩られて毒針で麻酔されている可能性はどうでしょう?
腹部腹面に開いた小さな穴(未成熟な外雌器?)は、まさかクモバチの毒針に刺されたものではないと思いますけど、定かではありません。
(クモバチに狩られ麻酔されても肉眼で見えるほどの注射痕が果たして残るだろうか?)
クモバチの中には営巣地を探す間に麻酔した獲物をアリに奪われないように草の葉に引っ掛けておく習性をもつ狩り蜂が知られています。

関連記事→「オオモンクロベッコウのアリ対策

それをクロヤマアリが集団で強奪してきたのかと勝手に想像を逞しくしてみました。
ちなみに図鑑『校庭のクモ』p33にはオオモンクロベッコウ(=オオモンクロクモバチ)に襲われたコアシダカグモの生態写真が掲載されています。


(つづく→アリの運搬・解体ショーの微速度撮影


【追記】
※ nephila氏の助言により、コアシダカグモも近年は分類がややこしいらしく、今回の個体は「コアシダカグモの一種」とさせてもらいます。参考資料



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