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2012/04/24

タケカレハ♀(蛾)の羽化(15倍速映像)



タケカレハの飼育記録
2012年3月下旬・室温19℃

雨の日の夕方にふと気づくと、室内に置いていたタケカレハEuthrix albomaculata directa)の繭から成虫が羽化しかけていました!
羽化の前兆は全く分かりませんでした。
繭の上部の絹糸を溶かし押し広げて羽脱する様子を観察できず残念無念。
『繭ハンドブック』p38によると、タケカレハ繭上部正面にある成虫の出口は予め袋を縛ったようになっているらしい。


繭の横にある枯れたクマザサに掴まり上向きに静止しています。
未だ翅が縮んでいたので、慌てて微速度撮影の準備に取りかかりました。
翅が伸びる様子は意外に早く進行するため、インターバル撮影ではなく、通常通り動画撮影した映像を編集で早回しにしました(冒頭だけ5倍速、カメラを固定してからは15倍速)。




触角の形状からタケカレハ♀と判明(♂の触角は羽毛状)。
触角が微かに動くほか、下唇鬚?が開閉しています。
口吻は完全に退化しているようです。
自ら動いて側面を見せてくれました。
特徴的な白点や白線で彩られた翅表とは異なり、翅裏は全面褐色で地味。

翅を広げて少し登りました。
翅は三角屋根の状態で静止。
翅表の大きな白点は鱗粉というよりも毛束が表面から盛り上がっている気がします。
タケカレハやイラガのように厚ぼったいものは、鱗粉が斜めに立ち上がり、重なりあってチョウの数倍の密度になっている。(『日本動物大百科9昆虫II』p24より)



触角は翅に沿って垂らしています。
やがて体を数回左右に揺すりました。
脚のクチクラが固まったかどうかの確認だろうか。
いつの間にか触角は翅の下にたくしこんでいます。
翅を立てた状態から再び三角屋根の姿勢に戻すシーンは撮り損ねてしまいました。

この個体は3月上旬に営繭してから27日後、ほぼ4週間で変態が完了したことになります。
繭の中でときどき蛹がゴソゴソ動き回っていたのですが、これも予測不能の行動で動画に撮れませんでした。

翅が伸び切ってから暫くの間、不要になった体液(羽化液)を排泄する瞬間を撮ろうと待ち構えていたのですが、この日は空振りに終わりました。
成虫♀はこのままの姿勢でおとなしく静止し続け、排便したのはなんと2日後でした。
こんな便秘の個体は私の鱗翅目(蝶・蛾)の飼育経験でも初めての例でした。
室内が乾燥していたからだろうか。

(つづく→「羽化後の初飛行」)


繭の内側に植え込まれた黒い毒毛







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